抜かれても悔しがらない息子

2012年06月19日

メンタル/教育

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みは「抜かれても悔しがらない」お子さんのお話です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学2年生の保護者)

本人の希望で小学2年生からサッカーを習い始め、1年少しが経ちました。私はサッカー未経験ですが、休みの日はできるだけ息子が所属するスクールを見学しています。しかし息子は、試合になると相手がドリブルで来るのを取りに行くこともせず、あっさり、何度も抜かれます。そしてコーチにアドバイスを受けても、試合が終わっても、悔しいそぶりもなくへらへらとした状態。今までもたびたびそのようなことがあり、カッとなるのを抑えうまいプレーをほめるようにしておりましたが、先日ついつい説教をしてしまいました。妻からは、息子に対し少し距離が近すぎ、過度な期待をしすぎていると言われております。もう少し自主制にしたいのですが、自分からはなかなか練習をせず、そのくせうまくなりたいとは言っています。私自身は小さい頃からラグビースクールに入り、大学も体育会に所属しておりました。息子は私の小さいときより全然運動神経も良く、期待をしているのは事実で私はプロを目指してほしいと思っています。プロになる方は子どもの頃からサッカーが大好きで自ら練習を行っている方ばかりだと思いますが。少し距離を置き自主制に任せるか、今まで通りに行うのか、どうすればよいでしょうか?

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子どもが自発的にやったことでなくては、
本物の成長は獲得できません

 「プロになってほしい」と願うお父さんの姿を、奥様は見抜いておられるようですね。「距離が近すぎる」「過度な期待をしすぎる」は正解だと思います。
  わが子に期待をするのは当然のことです。ただし、いくら自分の子でも、子どもは親の所有物ではありません。ひとりの人間として、自分の意思で自分の人生を歩むことが何より大切です。そして、その子の成長を見守り助けるのが親の役目ではないかと私は思います。

 ご相談の文章を読むと、お子さんにいら立つ気持ちが伝わってきます。「コーチにアドバイスを受けても試合が終わっても悔しいそぶりもなくへらへらとして」「自分からはなかなか練習をせず、そのくせうまくなりたいとは言って」いる息子さんに対して、お父さんとしてはイライラしますね。ですが、7つや8つで、コーチからアドバイスされて悔しがり、自ら自主練を始めたとすると、私なら心配になってしまいます。なかには、自分がそうすれば「親が喜ぶ」と感じてやる子もいますから。

 スポーツでも勉強でも、自分から「これをやろう」と思って動き出すことが大切です。自分から「もっとうまくなりたい」「変わりたい」と思ったときに、初めてそうなる可能性が生まれます。「自主練習をやりなさい!」といわれ受け身でやっている間は、その可能性さえないと考えてください。子どもが自発的にやったことでしか、本物の成長は獲得できないと私は思います。

 お父さんはラグビースクールに通っていたということですが、冷静に考えると、ラグビーとサッカーでは競技人口自体がかなり違います。
  私は拙書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(小学館刊)で、サッカーをやってきた大人は「危ないコーチ」と書きました。自身の経験をベースにして古いやり方で指導しがちなので、子どもをつぶしてしまう可能性が高いからです。その次に危ないのは、他のスポーツをしてきた大人です。

 まずは自主性に任せて見守ること。そして「プロになる」という目標以外に、サッカーをすることで子どもが何を獲得していくか、人として成長するかという点に一度着目してみてください。

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