コラム

合格しても「辞退しろ」と言うコーチ

2012年06月26日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みはキッズ年代の選考会にまつわるお話です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学生の保護者)

都道府県のサッカー協会が主催するキッズプログラムに、チームから推薦され、各学年から数名が選考会に出席しました。しかしあと1回受けて合否を待つ段階で、チームから辞退しなさい、辞退しないならチームをやめろと言われました。これまで毎年、参加しており、子どもたちも受かるためにがんばっていました。辞退の理由は、子どもが他のチームにとられる可能性があるからと。大人の事情もあるかもしれませんが、正直はがゆい気持ちもあり、保護者としてはどうすればよいでしょうか?

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「あなたには選ぶ権利があるよ」
子どもに伝えたうえで意思を聞こう

 ひどい話です。途中で辞退させるなら、セレクションに参加させなければいいのにと思ってしまいますね。おそらく、地域で活動するチームとしてはつきあいで子どもを出さなくてはいけないのでしょう。

 何か問題が起きたとき、私はなるべく子ども自身で解決させる道を選ばせたいと考えています。ですが、この案件は子どもが解決することはできません。このような大人の事情を説明しても理解はできませんね。

 このようなことが起きて、もしお子さんがこのチームで活動していくことを躊躇しているようであれば、親子で話し合ってみてください。

 親御さんからお子さんに言えることはただひとつ。「あなたには選ぶ権利があるよ」ということです。お子さんからすれば、チームに愛着があるはずです。仲間もいる。他のチームへ移ることを決断するのは容易いことではありません。

 ただし、親の意見はこうだよ、という話はしてもよいでしょう。他のチームでやりたければ(チーム探しなど)協力するよ、ということを説明しましょう。「あなたのことは守ってあげるから」という気持ちをきちんと伝えてください。

 一方で、低学年から行うセレクションに対して、「ここを目標にがんばろう」などと過度に意識しなくてもいいと私は思います。一人の選手(子ども)に対する評価は、観る大人によって異なります。小さいときに高い評価を受けて大成したという選手は、私の知る限りほとんどいません。中学、高校、大学と、評価されるプレーヤーはどんどん変わっていくのが常です。

 ですから、お子さんにとって悔しい出来事かもしれませんが、「そんなに大したことじゃないよ」というスタンスを親御さんはもっていてほしいと思います。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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