マンチェスター・ユナイテッド香川真司の 現地メディアの評価

2012年10月19日

サッカーエンタメ最前線

10月23日(火)発売予定の『フットボールサミット第9回』は「香川真司を超えていけ」をテーマに議論していく。香川真司選手が名門マンチェスター・ユナイテッドFCに移籍してから3ヶ月。現地メディアの評価はどのようなものなのだろうか。今回は、『フットボールサミット第9回』の発売に先駆け、版元の転載許可を得たうえで、スポーツジャーナリスト藤井重隆氏のコラムを一部紹介する。

————————————————————————————–

第2節で初ゴール
掌を返す現地メディア

10月23日発売予定の『フットボールサミット第9回』(カンゼン刊)

10月23日発売予定の『フットボールサミット第9回』(カンゼン刊)

初戦で厳しい評価を受けた香川だったが、それを覆すのには1週間とかからなかった。現地メディアの評価はまるでオセロのように簡単に白黒を反転させる。
第2節、ホームでのフラム戦。香川は4-2-3-1のトップ下で攻撃陣唯一の2戦連続先発。FWにファン・ペルシー、左にアシュリー・ヤング、右にアントニオ・バレンシアという陣容だった。
1-1で迎えた前半35分、CKから相手がクリアしたこぼれ球をトム・クレバリーがミドルシュート。相手GKが弾いたボールが香川の足元にこぼれ、すかさず右足でゴール左上に決めた。
「オフサイドかと思ったけど、どんな形でも早くゴールを決めたかったから、ホーム初戦で決められてほっとした」と香川。その2分後には、ペナルティーエリア内でDFラファエウの右からのパスを中央で受けると、左に素早くターンして相手DFを振り切り、左足でゴール左ポストに当てる決定機も作った。
活躍の要因としてアンデルソンとのやり取りを挙げ、
「彼に『あまり引くな』と言われたから、前に位置取りしてボールを引き出そうと思った」と振り返っている。
周囲の反応は大きかった。テレビのハイライト番組をはじめ英メディアは、右腿裂傷で11針を縫い、全治4週間と診断されたルーニーの「定位置危機」の話題で埋め尽くされ、マッチレポート面でも初先発初ゴールで脚光を浴びたファン・ペルシーが中心となったが、香川も高く評価されていた。
ピープルが10点中9点という高得点でマンオブザマッチに選出し、「日本のスターは最高級のプレーを見せ、ルーニーの定位置に脅威を与える存在に」と評すと、スターも10点中8点で最高評価。サンも最高点タイの8点を付け、「自由自在に動き、ゴールと共に再び大きな印象を与えた」とし、やや辛口の7点を付けたデイリー・ミラーも、「香川の動き、速さ、パスはフラムを後ずさりさせ、ルーニーに警笛を鳴らした」と評価した。
デイリー・メールは、試合後にファーガソン監督が「ファン・ペルシーと香川の連携は良かったし、満足している。時間が経てばさらに良くなるだろう」と語った談話を掲載し、「エキスプレス」は、マッチデープログラムの中で同監督が香川について述べた談話を次のように紹介した。
「我々は近年、中盤の選手の得点力が低くなっている。一昔前だと毎シーズン、(ブライアン・)ロブソンが10点以上、全盛期の(ポール・)スコールズも10点は記録していたが、そうした選手を見なくなった。私は香川がその役を担う次なる選手になると信じている」
さらにデイリー・ミラーのデビッド・マクドネル記者もコラムの中で香川の持つ大きな可能性を示唆した。
「ファーガソンが今季獲得した選手の中で最も成功するのはファン・ペルシーでなく、『新スコールズ』香川だ。ユナイテッドが韓国代表MF朴智星を獲得した際、多くのメディアは彼に東アジア向けの商業目的というレッテルを貼ったが、彼は在籍した7年間で四度のリーグ優勝と一度の欧州制覇に貢献したことで、実力を証明した。朴が今夏、QPRへ移籍したことで、ファーガソンはすぐさま東アジアの次なる選手、日本代表MF香川真司をドルトムントから1700万ポンドで獲得した。香川は朴とは違い、デビュー2戦目にしてゴールを決め、強烈な印象と共に実力を示した。ファーガソンが2003年にスポルティングから獲得したクリスチアーノ・ロナウドに次ぐ、大物お買い得選手だろう。香川は新加入のファン・ペルシーと共に、ユナイテッドに新たな側面をもたらす」
少々浮かれ気味のメディアをよそに、本人はいたって冷静だ。デイリー・メールに、
「身体面の強化を念頭に置いており、接触プレーに慣れる必要がある。ドイツでは上位チームだけが強かったけど、プレミアリーグは各チームに強みがある。チームメートにはどんな位置からでも僕に信頼してボールを出してほしいし、もっとボールを前に運べるようにしたい」と語っているように、次のステップを見据えている。

※『フットボールサミット第9回』P12-27より一部抜粋(文●藤井重隆)
————————————————————————————–

移籍当初、現地メディアでの評価は、決して好評価とはいえなかったようだ。だが、そんな評価に目もくれず、結果を出すところは、バイタリティあふれる選手だということを物語っている。香川選手は今後の課題をすでに考えている模様。その詳細は10月23日(火)発売予定の『フットボールサミット第9回』をご覧いただきたい。

カテゴリ別新着記事

お知らせ



school_01 都道府県別サッカースクール一覧
体験入学でスクールを選ぼう!

おすすめ記事


Twitter Facebook

チームリンク