ジュニサカ賢人・池上正さんに聞く 私が「怒鳴らないコーチ」を推奨する4つの理由

2013年03月11日

コラム

現代の子どもたちに怒鳴る必要はない

(理由2…上達までに時間がかかる)

怒鳴ることを正当化している指導者は「這い上がらせるには厳しさが必要だから」と言います。「叱って、できるまでやらせるんです」と。要するに、恐怖感を与えることによって、その選手に努力を促しているわけです。

サッカーに限らず、スポーツには反復練習は必要です。けれども、怒鳴られる恐怖感のなかで成功(習熟)まで導く時間と、自ら進んで自発的に取り組んだ時間の積み重ねとでは、どちらが効率的だと思われますか?

自発的にやった子のほうが、圧倒的に習熟スピードは速くなります。ひとつの技能を短い時間で習熟できれば、他の技能に取り組み、精度を高めるチャンスは増えるので、明らかに効率のいい指導だと言えます。そのうえ、脳内物質の一種で、何かを習得する際に使われることから「学習強化因子」といわれる「ドーパミン」は、物事に自発的に取り組んだときにもっとも分泌されるそうです。脳科学の観点からも、怒鳴らずに自発的に取り組ませる手法は、より効率的な指導方法なのです。


(理由3…叱っても効果のない子どもが出てきている)

三つ目は現代の実情です。
京都サンガで行っている学校巡回指導「つながり隊」でよく感じることですが、先生たちが「コラーッ!」と怒鳴っても、振り向きもしない子どもが増えているように感じます。私たち大人が子どもだった時代は、どの子も大人が怒鳴るとビクッとして襟を正す、といったことが普通でした。

その背景には、家庭で子どもたちが大人からあまり叱られなくなったから。だから、大人の感情を読みとれないのです。よく「叱ってもどこ吹く風でケロリとしている。どう対処していいのかわからない」と、小学校の先生方も悩んでいるようです。指導する側にとっては、難しい時代になりました。

(理由4…創造性を養う)

最初にあげた「大人の想定内でしか上達しない」と似た要素ですが、怒鳴る指導は子どもの創造力を阻害します。なぜなら、人間は委縮すると、柔軟に物事を考えられなくなるからです。自分で考える習慣のない子に創造性豊かなプレーはできません。さらに、失敗すると叱られるので、自分にとって難易度の高いプレーにトライしません。

いかがでしょうか。このような時代の子どもたちに対して、怒鳴ることがいかほどの効果があるのでしょうか? 読者の皆さんには、大人としてきちんと諭してあげられる指導者、効果的な声がけのできる指導者になってほしいと切に願います。

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