コラム

池上コーチの一語一得「勝つために下の学年の子を上の学年で出す制度」

2013年04月16日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回はチームで行っている「勝つために下の学年の子を上の学年で出す制度」について指導者の方からのご相談です。

◎試合(試合で修正したい悩み)

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勝つために下の学年の子を上の学年で出す制度(質問者:小学生の指導者)

私が指導しているチームには「連れ出し」といって、下の学年が上の学年に出場する制度があります。要は、試合に勝つために、下の学年の上手な子を上でだすので、上の学年の子が数名出られなくなる状況がいまだに続いています。私の考えでは、勝つためにではなく、上で経験させるためであればと思いつつ、特に6年生では、なおさら勝つためにという部分が大きいのが現状です。この連れ出しに関して、ご意見いただきたく、参考にさせていただきたいと思っております。

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平等に上の学年の試合を経験させ、
チーム全体のレベルの底上げを

 相談された方が理解しているのが救いです。「勝つためにではなく、上で経験させるためであれば」というご意見はもっともです。下の学年の子が上の学年の試合を経験する「飛び級」自体は、私も強化に欠かせないと思っています。

 ところが、多くの方の飛び級のイメージは、「試合に勝つため」に、下の学年の上手な子だけを上の学年に送り続ける、要するに相談の方のチームでいえば、「勝つため」に「連れ出し」続けるわけです。そうなると、相談の方がおっしゃるように、上の学年の子の出場機会がなくなります。

 そうではなく、みんなが順番に上の学年の試合を経験し、なおかつ上の学年の子もおしなべて平等に試合に参加する。そうすれば、チーム全体のレベルの底上げができます。ひいては、クラブ全体の強化につながります。そのことをいま一度スタッフ全員で話し合ってください。

「私たちは何のために、子どもにサッカーを教えているか」

 勝利至上主義の是非を含めて、まずはそこから議論できるといいですね。

 京都サンガのスクールでも、新年度からウオーミングアップは1年から6年生まで全員で一緒に行うことになりました。私のつながり隊での授業をみにきたコーチたちが、縦割りの効用を認めてくれたようです。

 クラブのなかで、そのような仕組みを作れるといいでしょう。技術が劣る子が上の学年に行った場合も、上の学年の子たちにコーチが「教えてあげてね」と声をかける。すると、上級生は自分たちができることをしてあげる、そのようなチームになれることを願っています。周囲への理解を取りつけることは容易ではないと思いますが、あきらめずに取り組んでいただきたいと思います。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

VOL44

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