チーム動画紹介第93回「碑文谷フットボールクラブ」

2013年05月24日

 今回は東京都目黒区で活動する碑文谷フットボールクラブの練習にお邪魔して、監督の鈴木仁さんにお話を伺いました。

文●山本浩之


大人の声よりも子どもの声が響くグランド

――「碑文谷フットボールクラブ」って、どんなチームですか?

 活動は2009年からです。現在は総勢140名くらいの子どもたちが集まって一緒にサッカーを楽しんでいます。僕が中心になって指導をするようになったのは1年半前からになりますが「子ども同士がいい緊張感をもって物事を解決することのできるサッカークラブ」がコンセプトです。子どもたちが手をこまねいていたとしても、自分たちの力だけで動き出すまで、たとえじれても口を挟まずに、じっとその状況を見守る。グランドに響くのは、コーチが指示をだす声ではなく、子どもたちがやり取りをする声だけでなければいけないと思っています。

――子どもたちが主人公になってサッカーを楽しむ場であるべきというお考えですね。

 楽しさの感じ方は、ひとそれぞれ違いますし、ここはセレクションをしているクラブではないので、入会のきっかけもそれぞれに理由があることでしょう。けれども、どんな事情であろうとも、指導者は子どもたち全員を公平に見守らなければいけません。サッカーの上手い下手は重要ではないんです。一生懸命にがんばっている子どもを全力でサポートしてあげることが使命です。

 だから、試合に対しての臨み方も、我々からは、「勝たないといけない」とは一切言いませんし、プレッシャーになるような言葉もかけません。ただ決まり事として、選手全員が平等であること。それ以外のことは、タイトルマッチであっても選手主導です。試合前のウォーミングアップやハーフタイムのときの打ち合わせはもちろんのこと、出場メンバーを決めるのも選手たちだけでやっています。試合に勝つことによって得られものもありますが、体験させてあげたい大切なことは、他にもたくさんあるからです。

――鈴木さんが就任されてから選手主導の方針を取り入れられたようですが、子どもたちに戸惑いはありませんでしたか?

僕が最初に取り組んだのは、子どもたちにリーダーを決めてもらうことでした。そして練習のなかで、リーダーが中心になって考えたトレーニングをする時間を少しだけ設けて、指導者が教える時間と共存させたわけです。はじめのうちは、子どもたちも手探りの様子でしたので、必ず取り入れてもらいたいポイントを私からキャプテンに伝えていたのですが、3ヶ月も経過するうちには、子どもたちもコツを掴んできたようなので、大人の受け持つ時間との配分を変化させていったんです。

――慣れていくにしたがって、子どもの取り仕切る時間を長くしていくんですね。

そうです。まだ新チームになって間もない今の時期(5月)は、指示されたことはできるけれど、それ以上のものがでてきていませんので、我々がアドバイスをすることもありますが、これから経験を積むにしたがって、キャプテンを中心に選手からもアイデアが提案されるように導いていきます。私がキャプテンを指名せずに、子どもたちを主体に決めさせたのにも理由があって「自分たちが決めたキャプテンなのだから、周りがサポートをして盛り立ててあげなければいけない」ということ。つまり責任逃れをさせないためです。

――子どもたちに任せてしまうと大人の考え方と食い違うことはありませんか?

確かに、子どもは突拍子もないトレーニングを考えるときもあるのですが、大体が的を射ているものです。もし、斬新な意見がでたときには、我々にはないアイデアをだしてくれたわけですから歓迎して採用するようにしています。とはいえ、100%のことを子どもたちに任せるわけではありません。あくまでも指導者の考えとの共存ですので、指導者からの提案を子どもたちが落とし込めるような工夫を凝らしています。例えば、サークルの中でのボール回しの練習(チームのおすすめ練習動画2)は「狭いエリアのなかで前を向く」というのがテーマです。今のチームの状況から、指導者が必要な部分だと判断をしたメッセージなんです。そこに気がついて、自分たちの主導するトレーニングに反映することができるのかというのも、彼らに与えたミッションです。

――そのようなサポートの部分が、子ども主体ではありながら放任ではない部分ですね。

放任のように、なんでも好き勝手に自由にさせているわけではありません。かといって、きれいに環境が整っていては、子どもたちに危機感が生まれない。大人が口出しをしないで、子どもたち同士が緊張感をもって考える機会も必要です。そのためには、どんなタイミングでもいいから意見交換をするようにと言っています。人間って、話し合わなければ理解し合えないこともありますからね。

――それでは、最後に碑文谷サッカークラブが目指しているところを教えてください。

「指導者と子どもたちとの信頼関係」というとかっこいいのですが(笑)、それを築けるのがベストだと思っています。そして、我々の宝であるクラブの子どもたちがサッカーを楽しんでくれること。やがて、サッカーを通して、自主的にいろんなことに取り組むことのできる大人へと成長してくれること。それが碑文谷フットボールクラブの願いです。

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