ジュニア年代から身につけておくべき「正しい走り方」。良いプレー、良い走り方の秘密は“良い姿勢”にあり

2017年10月02日

コラム

「うまく走ることが、いいプレーのきっかけづくりになる」。そう話すのは、清水エスパルスなどで、フィジカルコーチを務めた杉本龍勇氏(現・法政大学経済学部教授)。杉本氏はこれまで多くのJリーガーをはじめ、プロアスリートに走り方を指導してきました。正しい走り方を身につけると、体にどのような効果をもたらすのでしょうか? ジュニア年代が身につけたい上手な走り方について杉本氏の言葉に耳を傾けます。

文●岩本勝暁 写真●佐藤博之

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.21夏号』より転載

 
※この記事は2013年5月25日に掲載した記事を再編集したものです。
 


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うまく走ることが、いいプレーのきっかけづくりになる

――そもそもサッカーの走りと陸上競技の走りに違いはありますか?

 走ることはすべてのスポーツにおける基本的な動作です。走りをどう活かすかという違いはありますが、サッカー選手と陸上選手、また他のスポーツ選手と比べてもその動きに大きな違いはありません。むしろ一致している要素がたくさんあります。

――サッカーの場合はボールが加わってきます。

 サッカー選手は全力疾走しながらボールを扱わなければいけません。ですから、うまく走ることが、いいプレーのきっかけづくりになります。世界的な流れで考えても、トップレベルの選手は全力疾走の中で正確にボールコントロールすることができる。全力疾走そのもののスピードも上げていかないといけませんし、今はスピードが非常に重要視されています。もちろんトレーニングを細かく分ければ止まった状態でのボールタッチも必要ですが、最終的には同じことを全力疾走しながらできるようになることが重要です。

――今のジュニア年代の走り方に傾向はありますか?

 子どもの体力低下は顕著です。さかのぼって考えると、幼稚園生や小学校低学年くらいまでの歩行距離が足りないと思います。

――走りなれていないということでしょうか?

 走るということだけではなく、運動しなれていないということでしょう。例えば、サッカーは上手なのに野球は全くできないという子が増えています。あるいは、ドッジボールで捕球ができない、まっすぐ走れない、マット運動ができない子もいる。特に今の子どもは外で遊ぶ機会が減っているので、小さい頃から運動神経全般の発達を促すように持っていかなければいけません。

 小学生というのはジャンプ力のある子が速く走れるし、速く走れる子は長い距離も走れます。そういう面でも、基礎能力として単純にジャンプ力をつけて速く走れるようにするというのが当面の課題だと思います。高く、遠くにジャンプするためには、手足を目いっぱい使わないといけないし、筋肉の出力を100パーセント出せないといけませんから。

――ボールコントロールを意識するよりも、まずは走る動きを大きくすることが必要ということですね?

 そうです。世界のトップ選手は、ランニングフォームを崩さずにドリブルもボールタッチもしていますよね。走り方が大事なのはそれが理由です。ボールに追いついたら動きが崩れてしまうということはありません。それはプロになったから身につくというわけではなく、小さいときから習慣として身につけておかなければいけないと思います。

――日本人選手の中でうまい走り方をしている選手は誰でしょうか?

 インテルの長友佑都選手でしょう。全力疾走しながらボールを扱うのはすごく難しいですが、それを常に心がけてプレーしています。彼がどういうトレーニングをしてきたのかは僕にはわかりませんが、ああいうタイプの選手はプレーするたびにうまくなる可能性が高い。全力疾走でボールを受けてクロスを上げるということを、失敗しても成功してもとにかく繰り返す。本当に素晴らしいですね。

――習慣というキーワードが出てきましたが、今のジュニア年代は外で遊ぶ機会が減っています。
 
 今の小学生に「運動している?」って聞いても、少年団の時間だけしかやっていないんです。昔は遊びの中で体を動かす機会がありましたが、今はトレーニングの時間しか体を動かしません。遊びの素晴らしさというのは、無我夢中で全力を出すことじゃないですか。しかも予測しない動きがたくさん入ってくるので、巧緻性や多様性も習得できる。今は体を動かすことが学ぶことになってしまい、そうしたフィジカル面が自然に生み出されなくなったように感じます。

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