コラム

スポーツ現場の体罰や暴力問題はなぜ起こる? いま求められるサッカーコーチングとは

2013年09月23日

育成のスポーツ現場でよく耳にする体罰や暴力問題のニュース。どうすれば育成の現場を変えていくことができるのか。一人の指導者の革新的指導法に着目する。

構成・写真●編集部

 


体罰や暴力問題はなぜ起こるのか

近年蔓延る、スポーツ現場での指導者の体罰や暴力問題。先日もあるバレーボール部の顧問の暴力シーンがネット上に流出され、大きな波紋を呼んだ。体罰や暴力問題をなくすことができないのか。日本サッカー界も、この問題について動き出している。今月7日には、日本サッカー協会が「リスペクトF.C. JAPANシンポジウム ~暴力根絶に向けて~ 」を開催。スポーツ現場の暴力根絶に向けた取り組みについて、さまざまな議論が交わされた。今後も取り組んでいかなければならない課題であるが、体罰や暴力をなくす最大のポイントは、指導者がどこまでプレーヤーズファーストを考えれているかにかかっている。そういった“選手が主役”の指導を数十年前から続ける、一人の指導者がいる。安芸南高校サッカー部監督の畑喜美夫先生である。体罰をなくす指導法として、「とくダネ!」や「世界一受けたい授業」のテレビ番組にも取り上げられた。なぜスポーツの現場で体罰や暴力問題が起こるのか。畑先生の言葉に耳を傾けたい。

 


私が思うに体罰は、指導目的が勝つことにある場合、つまり『勝利至上主義』の場合に起こる可能性が高いように思えます。勝ちにこだわりすぎて、思うような結果が出ないことに苛立ち、ついつい子どもに手をあげてしまったとか、子どものふてくされた態度に頭にきたとか、理由はさまざまですが、すべての諸悪の根源がここにあるように思えます。これでは、子どもたちのことを本当に大切な存在と考えて向き合っているとは思えません。

大人は、相手が子どもであれば、簡単に子どもを支配しようとします。身体の小さく、力のない子どもを心も身体もともに力ずくでねじ伏せるのは、簡単にできてしまいます。監督や指導者が勝つことを目的にしてしまい、それにそぐわなければ、怒鳴ったり、体罰を加えたりしてしまう現状。

また、体罰で育った指導者は、体罰で指導してしまいます。体罰での成功体験をベースに体罰を正当化し、チームが勝つためとか、何とか大義名分をつけて、いかにも正しいことをしているかのごとく手をあげます。そして、周りの保護者も同様の考えであれば、体罰は正当化、そして容認され、子どもたちの逃げ場はなくなり、悲しい結末を迎えてしまうことにもなりかねません。私からすれば、指導者に他の方法に変える勇気がないだけだと思います。

また、感受性の強い子どものころに受けた経験は、大きく人生に影響をおよぼします。体罰を受けて育った子どもは、大人になったときに同じようなことをくり返してしまう可能性があります。
暴力が暴力を生むのです。
そこに未来はありません。私はやはり、体罰がない世界を望みます。

しかし『ボトムアップ』の指導法は、指導者から子どもたちに指示、命令するのではなく、子どもたちに自発的に考えさせて、認めてやり、任せていく指導法なのです。
こういった指導がいま、必要なのです。

ボトムアップコラム


 

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“教えない”指導が子どもを変える!! 自主性を促す組織づくりで絶対につぶれない「人間力」を磨く『個』と『組織力』をともに底上げする新理論。近年、高校生年代だけではなく、中学生や小学生年代にも広がりを見せているボトムアップ理論を生かしたサッカーの育成。子どもの自立や人間力を育む教育を具体的に解説、そして提言していく。

【著者】畑喜美夫(安芸南高校サッカー部監督)
【発行】株式会社カンゼン

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