コラム

池上コーチの一語一得「仲間に文句を言った息子が許せない」

2013年12月10日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回はサッカースクールで起こった出来事に関して、保護者の方からのお悩みになります。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学3年生の指導者兼保護者)

私は少年団のボランティアコーチをしておりますが、小学3年生の息子は別にサッカースクールに通っております。これは、そのサッカースクールでの出来事です。
4対4のミニゲームを実施した際、息子チームの守るゴール前で相手チームがドリブル突破をしようと試みました。状況的には、ドリブルで突破されてしまうと即シュートが打てる状況です。息子の守るゴール前の守備者は息子+4年生(同じ少年団に所属する)の二人だけ。守るゴール前に左に息子、右に4年生という位置で、その中央をボール保持者がドリブル突破を仕掛ける形となり、守る二人がどちらが先に当たりに行けばいいのか迷っているように見えました。
そのときに息子が「お前、行けよ!!」と4年生に言っていました。声を出して周りに自分の意見を伝えることは何ら問題は無いと思います。しかし、結果としてゴールされた後に「なんで、もっと強く行かないんだよ!!」と文句を4年生に言っていました。確かに4年生の方がボール保持者に近かったため、ボール保持者へのファーストDFを指示した息子の意見が妥当だと思います。
ただ、息子は「お前、行けよ!!」と声を掛け後、ファーストDFのフォローを怠ってただ見ていただけでした。小学3年生ではフォローに動くのは難しいことだと思いますが、ゴールされた後、仲間に文句を言っていたことが私には許せませんでした。
私は、練習終了後の帰宅する車の中で「自分ができることをやっていないのに、仲間に文句を言っている限りはサッカーが上手かろうが下手だろうが、仲間とサッカーをやる資格が無い」と強く非難してしまいました。
息子は、サッカーが大好きでサッカーを辞めたくないと思っており、「自分はサッカーをやる」と言い返し、私も大人げないと思いますが、「お前には仲間が必要ない、一人でサッカーをすればいいじゃないか」と言ってお互いに譲りませんでした。
その後、息子は多いに反省した様子で「ごめんなさい」と私に対して謝ってきましたが、謝るのは私にでは無く仲間に対してです。私は、「普段の練習や試合の中で態度で見せろ」と突き放してしまいました。今のところ、息子とは関係修復をしていません。
私の方から、「サッカーしよう」と言えばすぐにでも仲直りできると思いますが、私としては、どうしても息子に仲間を思いやる気持ちを持ってもらうこと、仲間のために自分ができることをやり通す大切さを教えたくて、大人げないと自分でも思いますが、息子に対して厳しく接してしまいました。多分に言い過ぎた面も有り、息子が大変反省している様子を見ているとやり過ぎた(言い過ぎた)かなと思うのですが、このような場合どう接していいのでしょうか。

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サッカーのやり方ではなく、
楽しく意欲的にやらせることに軸足を

「確かに4年生の方がボール保持者に近かったため、ボール保持者へのファーストDFを指示した息子の意見が妥当だと思います」

「ただ、息子は「お前、行けよ!!」と声を掛け後、ファーストDFのフォローを怠ってただ見ていただけ」

 この場合の失点はどちらのせいでもないと、私は思います。「チャレンジ&カバー」と言って、このようなディフェンスの仕方を推奨している向きはあります。でも、4種年代では全員がチャレンジしてほしい。抜かれたら、カバーを待つのでなく、自分が勇猛果敢にとりに行くという姿勢が何より重要です。

 加えて、せっかく少人数制の4対4でプレーさせているのですから、全員で守って全員で攻めるという基本の考え方を、親御さんももう少し勉強してほしいと思います。もっと「ボールを取られないぞ!」と踏ん張り、「ボールを取るぞ!」とファイトする。小学生年代はそのようなスピリットをもっともっと養いながら、厳しい攻防をどんどん経験してほしいと考えています。

 そして、親御さんは、子どものサッカーのやり方ではなくサッカーそのものを楽しく意欲的にやらせることのほうに軸足を置くことです。このケースでお父さんがこだわっているのは、サッカーの「やり方」です。この方の考え方をベースにしたディフェンスの方法ですね。親がやり方を細かくアドバイスし、それをやらせることに執心していては、自分で考え、気づき、自分から動ける子どもに育ちません。

 もちろん、息子さんにおっしゃっている意見が間違っているとは思いません。「自分ができることをやっていないのに、仲間に文句を言っている限りはサッカーが上手かろうが下手だろうが、仲間とサッカーをやる資格が無い」という部分は、その通りです。ただ、やはり言い方がきつすぎたのではありませんか。

「大人げないと自分でも思います」「多分に言い過ぎた面も有り」「やり過ぎた(言い過ぎた)かなと思う」ご自分で書かれているように、もう少し言い方を変えればよかったですね。

 親は子どもに成長してほしいと思うあまり、厳しい言葉で否定したり、要求することが多くなりがちです。でも、脳科学者の茂木健一郎さんが著書『育ての極意』で、「親の役目は子どもの安全基地」と話しているように、子どもが好きなことに力いっぱい取り組める環境にしてあげる応援団に徹してもらうほうにもっと心を砕いてほしいと思います。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

VOL44

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