ジュニア年代では、数的優位のゲームを取り入れよう【前編】

2014年01月22日

コラム

数的優位なトレーニングが効果的

 それでは、どのような練習を行えばいいのでしょうか。
 私が薦めるのは、数的優位なゲームです。2対1、あるいは3対1のゲーム。低学年からでもできます。それをやっていかないと、ゴールにつながる一番いいポジションは見つけられません。

「日本はもっと若い年代で、数的優位のゲームをたくさんした方がいい」と、オシムさんも口酸っぱく話していました。なぜなら、オシムさんがジェフの監督に就任した当初、チームはサイドで2対1の数的優位をつくれているにもかかわらず、そこを攻撃できなかったからです。

 先ほど紹介したように、鳥かごを行う指導者は多いのですが、この練習がオールマイティだとは思ってはいけません。ジェフも、最初はつながないといけないと考えて、そういったトレーニングをたくさん行った結果、前へ行けなくなった。そこをオシムさんは3年ぐらいかけて改造したわけです。そう考えると、小学生が試合中のポジショニングを理解するために、どれぐらいの時間を費やしたらいいのでしょうか。当然、すぐに理解できるほど簡単ではありません。まずは4人とか少ない人数から始めてみましょう。加えて、ゆっくり説明することも必要です。

「今、ボールが動きました。もらいに動くと、相手はどう動きますか? ついてきたらどうするの? 裏をとる?」

 そういったことを、じっくりと時間をかけて理解させます。
 小学生の間に数的優位のゲームを経験してきた子どもたちが、中学生になって同数になったときにどうなると思いますか? 
 例えば2対2。自分の味方のマークが少しでもずれて視界に入らなくなったら、要するに視界から切りとれたら、一瞬で2対1のイメージができます。パスを出して前進することが怖くない。イメージは数的優位に立っているのですから。

 ところが、数的優位の練習をしたことが少なく、そのイメージを描けない子はいつまでも外でボールを回しながらゴールから遠い場所で1対1の状態でプレーを続けます。もしくは、「いや、ダメ。僕にはディフェンスがついているから」とパスをもらわない。「ここに動けばディフェンスがついていてもパスはもらえるでしょ」と言っても、理解できないのです。

(後編へ続く。次回は1月23日更新予定)


プロフィール
池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

 


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