コラム

池上コーチの一語一得「試合は交代なし。出場機会がない」

2014年02月11日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回はお子さんが試合に出られないという親御さんからのご質問です。

◎試合(試合で修正したい悩み)

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(質問者:小学5年生の保護者)

小学5年生の息子のことですが、現在近所の町クラブでサッカーを習っています。息子の学年は人数が多く、35人ほどいますので試合になった場合はレギュラーの8人でほとんど交代なしでするので、出場機会がありません。試合が終わってのミーティグもレギュラーだけでおこないあとの子どもは待たされています。子どもの間でもレギュラーは別格みたいになって、すごい気を使っています。こんな状況を見ていると親としては、チームを変わってほしくて、子どもと話をするのですが、子どもは「試合に出られないのは嫌だけど、チームの何人かとは仲がいいのでチームは変わりたくない」といいます。このまま今のチームにいても、ほとんど試合に出れないと思うので無理やりでもチームを変えた方がいいのか悩んでいます。すみません、アドバイスお願いします。

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平等に扱ってくれる他クラブへ移籍するか、
先の選手生活をイメージして過ごすかの選択

 いまだにそのような話を耳にする機会は多いです。本当に悲しい出来事です。35人なんて、本来なら3チーム作れるわけですが、指導者が足らないので面倒を見られないのでしょう。

 結論から言うと、全員を平等に扱ってくれる他のクラブへ移籍するか、今のチームでプレーしながら中学生になってからの選手生活を考えて過ごすかという二つの選択かと思われます。

 まず移籍という選択肢。サッカーでも何でもスポーツは試合に出たほうが断然うまくなります。保護者が「他のチームでプレーするという選択肢もあるよ」と提案してもいいでしょう。

 ところで、実際に練習試合さえ出られないのでしょうか。「35人ほどいますので試合になった場合はレギュラーの8人でほとんど交代なし」と書かれていますが、ここでおっしゃる試合とは公式戦だけなのか、それとも練習試合も、もっとひどい状況だとチーム内で行う実戦練習や紅白戦さえ経験させてもらえないのか。その部分を知りたいところです。

 一方、今のチームに残る場合はどうでしょう。もう5年生なので、仲間とのつながりもできてきたことでしょう。お子さんも「何人かとは仲がいいから変わりたくない」と意思を表明しています。

 それであれば、少し先のことを親子で考えてみてください。
「じゃあ、中学になってもサッカー続ける?どんなところ?クラブチームのセレクションを受ける?どこがいいかな?それとも部活にする?」と考えさせてみてください。もし、サッカーを続けたいと言うなら、これからもっと上手くなるにはどうしたらいいか?ということを考えなくてはなりません。

「今は試合に出られなくても、5年生から6年生、中学生になっていくと体格も変わっていくよ。頑張っていれば、うまくなって試合に出られるようになるチャンスはいくらでもあるよ。もっとうまくなるためには、今何をしたらいいかな?お父さん(お母さん)がサポートできることがあるかな?」

 そのような問いかけをして、一緒に考えてあげてください。
 蛇足かもしれませんが、例えば欧州などでは、ジュニア年代でも所属したクラブで試合の出場機会があまりなければ、子どもたちはさっさとそのクラブを去ります。逆に、そのクラブよりもっとレベルの高いところでやりたければ、所属を替わります。そのように、スポーツを非常にドライにとらえています。

 うまくなるにはどうしたらいいか。楽しむためにはどうしたらいいか。そのことをいつも考えているようです。対する日本は、強いクラブに入って芽が出なくても、卒団まで所属しています。「強いクラブからそうではないクラブに移る」ことを、親子ともに敗北ととらえてしまうからかもしれません。

 でも、そうではありません。何度も言いますが、子どもは変わります。変わるには、試合に出たほうがいい。もちろん、練習試合や紅白戦などで実戦経験が十分にあれば、そこでも上達できると私は思います。環境は重要ですが、それ以上に本人のモチベーションを保つことを主眼に置いてサポートしてあげてください。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

VOL44

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