池上コーチの一語一得「楽しませる指導法ではないベテランコーチ陣を何とかしたい」

2014年07月15日

コラム

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回はお父さんコーチからのチームの指導法についてお悩みの質問です。

◎練習(トレーニング場面での悩みやギモン)

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(質問者:小学4年生と1年生の指導者&保護者)

小学4年と1年の息子2人を持つ父親です。長男が1年の時にサッカークラブのサブコーチ(お父さんコーチ)になり、息子と次男の学年のサブコーチをやっています。私のサッカー経験は、社会人などでやっていました。コーチになり土日の練習に参加しましたが、練習方法に疑問をもち、悩んでいたときに池上さんの著書に出会い、その内容に共感。また、サッカーの楽しさを伝える指導という自分の考えも正しいのだと確信しました。
また、息子がいるということで、○○の息子だから優遇されている、平等に子どもたちを見られない、などと言われたこともあり、言われないようにコーチのC級ライセンスも長男が1年生の時の2月頃に取得し、自分のコーチスキルも向上させ、練習方法やこどもとの接し方など学びました。
ですが、チームにいるベテランコーチ陣は資格をもっていません。コーチングは現場の経験が重要だとは思いますが、あまりにも池上さんの向き合い方、サッカーを楽しませる指導法ではありません。ある公式試合の後には、「今日は最悪の試合を見せてくれたな。あんなチームに負けるなんて。来週は俺は練習に来ないから好きにやれ」と暴言を吐いて、帰るありさまです。楽しいサッカーをこどもたちができていない、うまくいかないのはコーチのは責任だと思います。練習方法の改善が必要と感じるのが普通ではないでしょうか。
クラブの月1回の会議に、そのベテランコーチは出席しないので議論もできません。他学年との練習も重要だと考えていますが、クラブとしての方針などもなく、組織として機能していません。私は唯一、ライセンスを持っていますが、サブコーチ扱いで、審判要員扱いです。練習試合の調整なども私のサッカー友達やほかのお父さんコーチが設定、探す始末です。
クラブの問題として、一番は方針が定まっていないことにあると思います。練習試合の設定など実戦経験の重要性を感じているのは、一部のお父さんコーチなのです。より実戦に近い練習、対人練習が弱小チームには必要だと考えています。池上さんや教本にある指導方法を実践して、クラブを変えていきたいのですが、どうすればいいのでしょうか。
別のクラブチームに移ることも考えたり、誘われたりしますが、すでに親子ともに人間関係ができ上がっており息子たちも、移籍はいやなようです。コーチに提案し続けるしかないと思いますが、みなさんがボランティアなので強くは言えず困っています。

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ひるまず、感情的にならず
「楽しいサッカー」を訴えて

 似たような問題は本当に多いです。全国各地にあるようで、心から残念に思います。サッカー協会はライセンス制度を作り、FIFAが提唱する「オープンマインド」を言い続けていますが、大人たちには一向に伝わらないのが現状です。

 相談の文章にあるように、「今日は最悪の試合を見せてくれたな。あんなチームに負けるなんて。来週は俺は練習に来ないから好きにやれ」と暴言を吐いて帰るようなコーチは、他にもたくさんいて、楽しいサッカーをこどもたちができていないクラブも少なくありません。

 ただ、このコーチのせいにして、楽しくないクラブが嫌だから移るのは簡単なことですが、「別のクラブチームに移ることも考えたり、誘われたりしますが、すでに親子ともに人間関係が出来上がっており、息子たちも移籍はいや」とあります。親として、他の子どもを預かっている指導者としてできることは、ご本人も言っておられるように「コーチに提案し続けるしかない」でしょう。

「楽しくサッカーを」と理詰めで攻めるよりも、例えば、「こんな練習どうでしょうか?」と楽しくできるメニューをやって見せてください。そこで「子どもたち、楽しんでますよね。楽しみながら、結構走ってるし、良くなってませんか?」などと、提案し続けるのです。そこで、「こんなのダメだ」などと言われても、カッとせず、諦めず、大人の対応をします。「そうですかー。○○さんは、いいねえとおっしゃってたんですが」などと、同じ考え方のコーチの支持があることをやんわり伝えておきます。

 そのようなことを繰り返しながら、同じ価値観のコーチたちと一緒に、地域のクラブで経験豊富な方に講習会を開いてもらうとよいでしょう。都道府県や市区町村の協会に紹介してもらってもよいでしょう。その講習会をみてもらうなどして、「これがスタンダードですよ」ということを少しずつ理解してもらうのです。

 抵抗されてもひるまず、感情的にならず、ニコニコして「そうですかー。僕たちはこう思うんですよ」と少しずつ自分たちの考えを伝えていってください。ケンカして完全に対立してしまうと、しわ寄せは必ず子どもにいきます。やろうとしていることはまったく間違っていないので、自信を持って「子どものために動ける大人」であり続けてください。

池上さん140114

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