コラム

池上コーチの一語一得「遊んでしまう仲間と同じ練習……。チームに不満な息子への対応は?」

2014年07月22日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は息子さんと、その息子さんのいるチームメイトと起こった問題について、保護者の方からお悩みの質問です。

◎練習(トレーニング場面での悩みやギモン)

qicon
(質問者:小学2年生の保護者)

小学2年生の息子についてご相談があります。幼稚園年中から今のサッカークラブチームへ入りました。チームの方針は、試合に勝つことよりも全員が参加しサッカーを楽しむという、プレイヤーズファーストが基本理念です。子ども自身が考え、気がつくことができるよう、指導してくださっていると思います。息子はチーム以外にもスクールへ行っており、よくボールへ向って走り得点に関わることの多いタイプです。
先日の練習後、息子からチーム練習が 楽しくないと言われました。今までどんなことがあっても、サッカーが楽しいといい練習へ行っていたので驚きました。理由を聞きますと、その日、ボールキープの練習の後、チーム6、7名を4チームつくりミニゲームをしていたそうです。チーム分けとしては、実力に差が出ないように上手な子は振り分けられます。ゲームに勝つと移動し、他の勝ったチームとゲームをするというルールです。
勝ちチームのゲームを担当コーチが、負けチームをアシスタントコーチがみていました。息子のチームのメンバーは、唯一1人足りない6名のチームでした。途中、1人の子が足が痛いといい、ベンチに座って参加してくれず、5人でゲームせざるを得ない状況に。(よく練習中に遊んでしまう子です。)息子はたまらずコーチへどうにかしてほしいと言いに行き、コーチはその子へ声をかけゲームへ戻るよう促したそうです。
結局、1度も勝つことなくゲームは終わりました。息子の言い分としては、「上手な子とパスをつなぎシュートするなどのサッカーがやりたい。このままでは上手くなれない。何度も同じボールキープの練習で、つまらない。もっと次々といろいろな練習がしたい。上手い人だけのチームへ行きたい」というものでした。
私としては、練習内容はチームにとって必要だからコーチが選んでいると思いますし、上手な子だけに合わせて練習するのは間違いかと思います。今のチームで息子が学ぶことはまだまだあるはず。しかし、本人にはやりたいサッカーのイメージが頭の中に明確にあるらしく、それにチャレンジしたい、そのために努力したい、そして成功し喜びを得たいという思いを、親としてサポートしてあげたいとも思います。どのようにモチベーションを上げ、以前のように練習を楽しめるようにしたらよいのでしょうか?

qicon
気持ちを整理する手伝いをしよう
責め口調ではなく対話を心がけて

 100%いけないというわけではありませんが、相談の方の息子さんのように「負けるのが嫌」「一番じゃないと耐えられない」という子どもは最近目立つようです。勝ち負けにはこだわるべきですが、親子の意識がそこだけに集中してしまうと、劣勢になるとキレてしまう、敗因を他の子のせいにする、協力できないなど、さまざまな問題が生じます。

 そう話すと「負けん気が強い子が悪いのですか?」と怒られてしまうのですが、子どもが勝負にこだわり過ぎる原因を探ってみると、案外大人の顔色をうかがったり、親の期待通りに勝たなくてはと気負っている子が少なくありません。要するに、大人の過干渉が根っこにあると気づかされます。

 よくよく考えると、息子さんはまだ小学2年生。7歳か8歳の子の話なので、ある日の楽しくなかった練習の一日だけの話かもしれません。それが本当に彼が描いているイメージなのか確認する必要があります。例えば、息子さんはこう主張しています。

①「このままでは上手くなれない」
②「何度も同じボールキープの練習で、つまらない」
③「もっと次々といろいろな練習がしたい」
④「上手い人だけのチームへ行きたい」

 そこで、こんなふうに話し合ってみてはいかがでしょうか。

>①
「君がやりたいようにやるのが一番だけど、本当に今のチームじゃダメなのかな? こないだのミニゲームのように、味方がひとり少なくなったのなら、そのぶん君が走ってたくさんボールをさわれば上手くなるとは思わない?」

>②③
「移ったチームでも、ボールキープのような基本練習をしっかりやる方針です、って言われるかもよ?」

>④
「みんなが君より上手かったら、試合には出られないかもよ?」
「それでもいいのかな?」

 そんなふうに、お子さんの気持ちを整理していってあげてください。決して責め口調やお説教ではなく、あくまで対話を続けます。

 そのうち、もしかしたら、「プレーしたくない一番の理由は何かな?」という質問にたどりつくかもしれません。

 そんな質問をすると、「『○○君がいるから』とか『○○コーチが嫌だから』などといった話が出てくるかもしれません。

 そうしたら、「違うチームに行っても、そういう子がいるかもよ? そうしたら、またチームを移る? どうする?」

 そんなふうに、質問して、考えさせてください。質問せずに「違うチームに行っても、そういう子がいるぞ。そうしたら、またチームを移るのか? そんなみっともない真似は許さーん!」なんてやってしまうと、話しは整理されず、単に「お父さんに叱られて、チームを移れなくなくなった」→「だから、このチームで上手くなれなくてもお父さんのせい」という図式になってしまいます。

 大人は、気持ちを整理するお手伝いをしてあげてください。そして、最終的に決めるのは子ども自身です。

 Jリーグのユースまでいった子が、突然音楽に目覚め「バンド活動をするのでやめます」というケースだってあります。17歳の意思決定は止められませんから、どんな道でも応援してあげるのが、親の道というものでしょう。

「今のチームで息子が学ぶことはまだまだあるはず」という相談者の方の意見は正解だと思います。どうかゆったりと見てあげてください。

140121池上さん

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

カテゴリ別新着記事

GA-300×80



school_01 都道府県別サッカースクール一覧
体験入学でスクールを選ぼう!

人気記事ランキング

おすすめ記事


Twitter Facebook

チームリンク