コラム

池上コーチの一語一得「自信をなくしサッカーをやめたい息子」

2014年08月12日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は自信をなくしサッカーをやめたいという息子さんの親御さんからお悩みの質問です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学4年生の保護者)

実は小学校4年生の息子がサッカーに対して、自信をなくし、しばらく休みたいということになりました。このまま、復帰することなく幼稚園から続けてきたサッカーを諦めてしまうのではないかという不安、一度やりはじめたことを、諦め、逃げが原因で辞めるという甘さを息子が持ってしまう(持ってしまっている)ことに非常に危機感と焦燥感にかられています。
経緯としましては、調子の良かったランニングのタイムトライアルで不調になったときに辞めたいと言い出す。きっかけは私からの叱責に近い質問だったと思っていますが、理由は速くなれない、上手くなれない、思った通りに体が動かない。
今、辞めても何もイイことは無いからと続けさせ、徐々にやる気を取り戻すも足のケガで2週間の休養。休養明けの試合前のランニングで体の不調を訴え、リタイア。翌日の試合中に上手くいかないことでやる気をなくし、足の不調(仮病でしたが)を訴え、リタイア。コーチからも練習、試合への取り組む姿勢についての叱責を受け、また、2日連続だったこともあり、何も言わないと決めていたのですが、我慢できなくなってしまって、私からも帰宅後、叱責。母親への八つ当たりが発生し、それに対する母親からの叱責への恨み節の発言(なんで入団させたんだ。弱いままでも良いなど)。
翌朝、ただ、泣くだけで嫌とも言わない、でも、行こうともせず、ただ困らせるという状態。どうにかなだめ、移動中の車中で”うまくやれない、うまくやれる自信がないからしばらく休みたい”ということを言い出したため、直接、コーチに伝えるようにと話し、試合会場へ移動。試合会場に到着すると頭が痛いと言い出し、グランドへ出るのを拒否。説得するも泣いて取り乱すため、結局、私の方から状況を説明を行う。
午後にはケロッとし、キャッチボールなどで体を動かしたりできるようになり、今では、復帰に備えて練習しないといけないからとリフティング(目標回数クリアでご褒美アリ)をしたりしています。サッカー自体は嫌いになっているのではないとも感じますが、やれば、家族がうまく行くみたいに感じて、やってる部分もあるのではないかとも思います。一方、テレビアニメの影響もあり、バスケをやってみたいと長期休養を決めた夜に発言したりと、戸惑うばかりです。本人は「しばらく休むだけだから心配しないで」とは言いますが、いつ復帰したいかは言いません。自分だけの練習で足りるかと言えば、足りないのも理解している様子も見えます。
夫婦で過干渉だったところもあり、反省し、本人の自立を促すいい機会と捉えて、やれることは自分でやらせるというのを徹底し、放っておこうと話しています。
とはいうものの、このまま、辞めるということはあってはならないとも思っていまして、できるだけ、早く復帰をしてもらいたいと、モヤモヤ、イライラする毎日です。今後、どのように復帰に向けて、関わっていけば良いのでしょうか?
 言ってくるまで待つべきなのでしょうか? 諦めて他のことに進むべきなのでしょうか? 復帰しても、同じことの繰り返しなのではないかという事も不安です。

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親は応援団に徹しよう。
「やり通す」より「選び通す」が重要

 このままサッカーをやめてしまたらどうしようという、親御さんの強い不安が伝わってくるご相談です。

「しばらく休むだけだから、心配しないで」とお子さん自身が言っているのですから、それに対して「そうなんだ。OK。いいよ」と言って待ってあげられると良いのですが。「いつ復帰したいかは言いません」とも書かれていますが、またやりたいという気持ちになるかどうか、いつなるのかは息子さんにもわからないのですから、そこを言っても仕方のないことです。

 保護者の方には、子どもの応援団に徹してほしいと思います。「頑張れ」と励まし、不安そうだったり調子が悪いときは「大丈夫?」と親が気にかけていること、いつでも味方であることを伝えてあげればよいのです。

 親がいかに大人の態度で接することができるかで、子どもの成長の度合いも変わってきます。そのことが顕著だったがゆえに、このウエブ相談をまとめた本のタイトルが『少年サッカーは9割親で決まる』になったのです。このご相談に関しても、親のほうに余裕があれば、子どももまた安心してサッカーをやりはじめるはずです。

「夫婦で過干渉だったところもあり、反省し、本人の自立を促すいい機会と捉えて、やれることは自分でやらせるというのを徹底し、放っておこうと話しています」

 こう書かれているように、うっすらとそれまでの対応を反省されていますね。ところが、「とはいうものの、このまま、辞めるということはあってはならない」「できるだけ、早く復帰をしてもらいたい」
 とも、書かれています。

 私には、どうして、このままやめてはいけないのか、早く復帰しなければいけないのかが、わかりません。サッカーだけが子どもの人生ではありません。冒頭にあったように「一度やりはじめたことを、諦め、逃げが原因で辞めるという甘さを息子が持ってしまう(持ってしまっている)ことに非常に危機感と焦燥感」があるからでしょうか。

 私は、ここは違う意見です。日本人は一度始めたことをやり通すことを美学のように言いますが、自分と合ってないこと、楽しくないことを、親や周囲の意見に沿って無理やり続けていくことがいいことだと思えません。やり通すことよりも「自分で選び通す」ことを重要視しませんか。

 どうか、本人の「しばらく休みたい」という意思を尊重してあげてください。

ikegami(加工)

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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