専門家が指摘する日本代表のメンタル面での問題。今後の日本サッカーに必須な育成年代からの“心の強化”
2014年08月20日
インタビューワールドカップ・ブラジル大会の日本代表の戦いぶりを見て、多くの人が不完全燃焼で大会を終えた印象を受けたはずです。事実、選手たちからも「自分たちのサッカーが見せることができなかった」というような発言がありました。メンタルトレーニングコーチとして多くのアスリートをサポートする大儀見浩介氏は、メンタル面での重要性を説いています。今後、日本サッカーが成長するために、メンタルの部分ではどんなアプローチをしたらいいのでしょうか。
文●木之下潤 写真●編集部
日本代表にはメンタルトレーニングコーチが必要
――ワールドカップ・ブラジル大会での日本代表は、いつもの力を発揮できずにグループリーグで敗退してしまいました。メンタル面で問題があったように感じましたか?
気になったのは心理的な戦い方です。サッカーは集団スポーツで、チームとして大きな生き物となって戦わなければいけません。そういう場合、各選手のいいところを発揮しやすい環境作りが大事になります。同時に、相手の心理を利用する戦い方も必要になります。
ただ、それらはいつも通りの力を出すことが前提ですから心技体のバランスがより重要になります。そう考えると、メンタルトレーニングをしていれば、もっと力を発揮できたかなという印象はあります。
相手との心理戦術やチームビルディングなどさまざまな要素があります。私が見ていた限り、ザッケローニ監督が就任してアジアカップを制覇するまではいい流れでした。あれから格上の相手に負けたり、連敗が続いたりして浮き沈みがあり、少しずつ歯車が狂ってしまったように感じます。
結果を重視する「自我目標志向」と経験を重視する「課題目標志向」という心理的な観点で言えば、ブラジル大会では途中から自我目標志向に陥っている選手がいたように思います。当然、結果を出すために大会に臨んでいるのですが、その中には選手としての成長があり、チームとしての成長があるわけです。だから、メンタルトレーニングコーチが帯同していれば、内容も違っていかもしれません。
今後、日本サッカーが進化するためにはメンタルトレーニングコーチの存在は重要になるのではないかと感じています。
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