ジュニアの現場から見るグラウンド問題の現実。サッカー少年たちの故郷(ふるさと)が無くなるとき
2014年12月19日
コラム日本サッカーの裾野を支えているジュニア年代では様々な問題がある。今回はグラウンド問題について、千葉県市川市で活動する新浜フットボールクラブの手作りのグラウンドを訪ねた。
文●山本浩之
写真●編集部
地域密着型の町クラブでさえ活動場所に不自由している
現在、小学生年代で構成される第4種(ジュニア)には、全国で約9000のチームが登録している。その多くは少年団や町クラブといった「地域の子どもたちのためのサッカーチーム」なのだが、そんな地域密着型のクラブでさえ活動場所に不自由していることは珍しくない。
公園の使用禁止や小学校のグラウンド(運動場)の使用規制など、30年前や40年前とは違い、誰もが気軽にサッカーを楽しむことのできる公共のグラウンドは全国的に不足しつつある。
特に2015年からは、4種年代のリーグ戦が本格化することもあり、毎週末のグラウンド確保は必須になるので、公共的な施設の利用が必要になるケースもあるだろう。
グラウンドの確保は確かにむずかしいことではあるが、だからといって「仕方がない」で済ませてしまう問題ではないはずだ。なにしろ、この9000ものチームに所属する子どもたちこそが、これからの日本のサッカーを支えていく存在なのだから。
ここに紹介する千葉県市川市の新浜フットボールクラブは、グラウンド不足解消のために、地域の大人たちの力だけでグラウンドを作り上げた町クラブだ。
設立は1980年のこと。町内の子供会が中心となって、地元の小学校の校庭で月に2回サッカーを楽しむようになった。やがて子どもの数も増え、100名以上の小学生が在籍するチームへと膨らんだ。
1993年には女子の新浜レディース、1995年からはマスターズ(現:社会人チーム)も発足させ、最年長は65歳の現役プレーヤーまで、今では少年サッカークラブの枠を超えた地域のサッカークラブとして活動をしている。
その手作りのグラウンド(通称:塩浜グラウンド)は、意外にも京葉線の市川塩浜駅から徒歩5分という好立地にあった。少年用の8人制コートなら4面は確保できるだろう。
グラウンドに沿って高架を走る上り電車は、東京ディズニーリゾートの舞浜駅を通り都心へと向かう。南西の方角には浦安の高層マンション群がそびえていた。空を見上げると鳥が群れながら東京湾の方から飛んできた。
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