受験化するサッカー。伝統ある町クラブから見る小・中学生の理想像とは
2015年07月23日
育成/環境子どもたちにどう気づかせるか
――45年もの間クラブを続けていれば、方針が変わったこともありそうですね。
初期のころは、うちの中でうまければいいやんと思ってたんです。いくらトップチームまであっても選抜、名門の高校や大学、Jのアカデミーなどを進路として選択する子も出てくる。
昔は、ですが、外に出したときに戻ってくる子が多かったんです。聞くと「挨拶もでけへんのか」とか「そのトラップは何?」とか、技術はあるのに試合に使ってもらえないことが多々あった。だから、そこで外に出ても適応できる子を育てなあかんと感じたんです。
なんぼうまくても使いもんにならんのやとそこで気がついた。やっぱり、よそのチームでも使ってもらえる選手になってほしいと感じたんです。ある意味、選手の自由度は減ったかもしれませんが。
うちは選手に対してもコーチに対しても放任主義やから挨拶もできん子もいたりする。たまに「だから枚方はダメなんや」と言われることもあります。でも、子どもたち自身が気づき、経験していくことが大切です。
子どもの頃は調子に乗って多少行儀が悪いこともやってしまいます。それぐらいは許してやってくれよと思てます。もちろん、最低限の指導はしていますから。
――選抜に選ばれるようないい選手は、自然に礼儀作法もできていますか?
どちらもいますね。できていない子は選抜に行って学んでくるんです。適応できない子は試合に使ってもらえませんから。「なぜだろう?」と考えるから次に進める。
今流行っているようなすべての道具を並べるというような指導はうちではやっていません。失敗するから学ぶわけで最初から答えを教えてしまったら成長につながらないでしょ。
<関連リンク>
・『ジュニアサッカーを応援しよう! VOL.35』
プロフィール
宮川 淑人
1969年に創設された枚方フットボールクラブの第一期生。現在は代表として同クラブを運営。「いまここにいて幸せ」と選手・保護者・指導者が感じるクラブを目指して日々奮闘中
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