脳の特徴を知ることでチームプレーはアップする!!
2015年10月10日
メンタル/教育日本人はよく個性を表に出せないと聞きますが、本当にそうなのでしょうか。脳の特徴を探れば性格を知るきっかけになります。そこで、脳科学者・篠原菊紀先生に日本人の性格の特徴を教えてもらい、それをどう活用すればチームプレーにつながるのかを指導いただきました。
(文●木之下潤 写真●編集部)
集団行動を変える前に日本人の特性を知ろう
――まず、日本人はどんな性格的な特徴を持っているのでしょうか?
遺伝子学上では、日本人は「損害回避」傾向が強く、「新奇探索」傾向が弱いということがわかっています。つまり、小心者で新たなチャレンジに対して臆病な性格だということです。例えば、「人見知り」とか、「保険をかけたがる」とか、「投資よりも貯金」とか例を挙げたらいろいろあります。
日本人で集団スポーツをやっている人の傾向としては「社会報酬依存性」が高いということがわかっています。ようは、「まわりに認めてほしい」との思いが強く、人の目が気になるからまわりに認められることが自分の成長の糧になるということです。性格形成にはオキシトシンが大きくかかわることが知られ、それは別名「信頼ホルモン」と呼ばれています。日本人はこのオキシトシンの分泌が欧米人に比べて少ないため、用心深く、周囲の目を気にするのです。
――先ほど損害回避傾向が強いと言われましたが、リスクを避ける傾向にあると。
遺伝子学上の分野から見ればそうなります。でも、それを理解した上で対策を練れば、スポーツでも結果は十分に出せるはずです。日本人は欧米人に比べると、成功よりも失敗のイメージが強く残り、それを引きずる傾向にあります。ただ、人間を動物だと捉えると、生死と隣り合わせの動物たちは失敗が死につながるわけですからリスクヘッジするのは当たり前のこと。引きずるのはどうすれば失敗しないのかを考えている証でもあるので、解決策を教えてあげたらいいのです。そう考えたら「成功」と「失敗」がワンセットになります。
よく選手に「自分で考えてプレーしろ」と、監督やコーチが言葉を投げかけているシーンを見かけます。確かに大切なことですが、育成年代の子どもにとっては考える知識やアイデアがない場合も多いのです。だから、その前にその失敗を解決するだけのことを教えたかどうかを考える必要がある。それを持たないのに、選手にそんなことを言っても解決できるわけがありません。
――その通りですね。日本人は周囲に認められる欲求が強いということは、ほめたらどんどん伸びるということですか?
もちろん、ほめた方が伸びます。でも、失敗を指摘することも重要なのです。だから、成功と失敗がワンセットだとお伝えしました。指導者と選手の信頼関係で変わりますが、1つ失敗を指摘したら3~4ついいプレーをほめるのがいいと考えます。
これは広く知られている話ですが、素質や才能をほめても子どもの実力は向上しません。むしろ失敗を恐れ、チャレンジしない子どもに育ってしまいます。ほめるなら行動や努力なのです。サッカーに置き換えればプレーのいいところをほめること。そのためには指導者がサッカーを見る目を持たなければならないし、それが具体的なアドバイスにつながっていくのです。
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