「できないことに目を向けるのではなく、今できていることを褒める」 子どもの“自立心”を育むオランダ式子育て

2016年04月29日

コラム

できないことばかりに目を向けずできることに自信を持たせよう

(オランダの)子どもたちは、小さいときから、親子で夕食をともにしていますから、食事をしながらでも、上手に大人と一緒に会話ができます。大人たちの話に耳を傾けていて、何か興味がわいたら口を挟むし、大人も、そういう子どもに「黙っていなさい」とは言わず、大人同士の会話と同じように、子どもの言葉をきちんと受けとめ、それに応えています。そういう中で、自分の考えや問いかけを言葉にする力や会話に上手に加わるタイミングをつかむ力が自然と養われているのだな、と思います。

 ところで、周りの大人が、「もう○歳にもなっているのに、まだ〇〇ができないの?」というふうに、ある年齢になればどの子もみんな同じことができるのは当然、というように考えていると、自立心はうまく育ちません。

 なぜなら、こうして、大人が子どもの「できない」ことにばかり目を向けていると、子どもはそういう大人のそばで、いつも自分にはほかの子にできることが「できない」とか、自分は「ダメだ」ということばかりに意識が向き、自分に「できる」ことを見つけ、それに自信を持つ心がなかなか育たないからです。

 自立心を育てるには、決してよその子と比べてではなく、その子が今できるようになったこと、夢中になって取り組んでいること、得意なことなど、その子のよさや強さに目を向けて、いつも周りの大人がそのことをほめたり心から喜んだりしていることが大切です。
オランダの保母さんや小学校の先生たちは、本当にほめ上手です。多分、一人ひとりの子どもについて、今どんなことができているだろう、この子は絵本が好きなんだな、この子は静かにしているのが好きなんだな、この子は活発に身体を動かす子だな、この子は周りの子どもや大人の気持ちをよく読み取れる子だな、といったふうに、それぞれの個性や得意なことに注目しているからだと思います。

 だから、子どもが何か新しいことができるようになったり、今までなかなかできなかったことができた瞬間など、すかさず「わあ、よくできたね!」と嬉しそうにその子を抱きしめながら一緒に喜び、自信をつけさせています。

 目立つ子・お利口な子だけがほめられるのではなく、どの子にもほめてもらえる瞬間があるので、自分がほめられているときだけではなく、ほかの子がほめられているときも一緒に喜びをわかち合うことができるようになります。


プロフィール

著者:
リヒテルズ直子(Naoko Richters)
1955年下関市生まれ、福岡市に育つ。教育研究家。九州大学大学院修了。専攻は比較教育学・社会学。81年にマレーシア国立マラヤ大学に研究留学。83年から96年までオランダ人の夫とともに、ケニア、コスタリカ、ボリビアに在住。この間、長男長女を出産。96年よりオランダ在住。99年より「リヒテルズ直子のオランダ通信」を開始し、2002年よりインターネット上で公開。オランダの教育・社会事情を発信し続け、日本でも講演・執筆などの活動を展開している。著書に『残業ゼロ授業料ゼロで豊かな国オランダ』(光文社)、『オランダの教育』(平凡社)など多数。


オランダ子育て
【商品名】世界一子どもが幸せな国に学ぶ愛をもって見守る子育て
【発行】株式会社カンゼン
【著者】リヒテルズ直子

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