地域サッカーの現場から見る育成改革。日本初、高校との連携で生まれたボスコヴィラサッカーアカデミー

2016年09月23日

インタビュー

地域活性化の一つとして行われる新たな試み

――はじめに高校と連携という発想はどこから生まれたのでしょうか?

阿保和宏氏(以下・阿保) もともとは地域の現状を鑑みて生まれたものです。というのも、奈良は過疎化の傾向が年々強くなり、生徒数が減ってきています。山辺高校に関しても、昭和10年開校という歴史を持ちながら、長い目で見ると厳しくなっているという声がありました。そこで、学校側や地域の声を聞き、地域活性化の意図も込めて連携の話しを持っていきました。

――これまでに前例がないだけに、周囲からの反発の声もありそうですが。

阿保 今回のプロジェクトはプロ選手を輩出するという目的だけで運営を考えていません。私自身が小学校の教員として長年勤めたこともありますが、クラブとして伝えていきたいことは人間力を形成する場ということです。いわば教育の一貫としてサッカーがあるというイメージです。周囲の方に理解を得られたのは、この部分に共感いただけたからだと思います。

――すでにセレクションを数回開催されていますが、応募者の反応は?

阿保 1学年定員25名に対して、すでにそれを大きく上回る数の子どもたちがセレクションに参加してくれています。大阪、兵庫、奈良といった近接から、埼玉や東京といった関東方面からの参加者もいました。目的は様々ですが、『語学のプログラムを活かして、私たちがルートを持つ海外でプレーしたい』という意見もありますね。

――セレクションの際にはどのような点を重視するのでしょう?

阿保 サッカーの技術や、個々の能力よりも、『諦めずに努力できる人間性』を見ています。この世代の子どもたちは環境次第で大きく伸びる。強豪校やJユースで活躍できるポテンシャルがありながらも、その受け皿がなくてサッカーに打ち込めないケースもあります。そんな子どもたちの選択肢の1つになりたいという想いがあるので、間口は広く開放しています。実際にセレクション参加者には、ヴィッセル神戸やガンバ大阪のジュニアユースでバリバリ活躍していた子どもたちもいます。

――これまで奈良県で指導者をされている中で感じた問題点はあるのでしょうか?

阿保 子どもたちが上を目指す環境が整っていないということです。そのため、トップレベルの選手は必ずといっていいほど大阪や他の県に流れている現状があります。その理由を突きつめていくと、奈良には上を目指すための選択肢が限られているという結論に至りました。私たちのクラブが、そんな選手たちの選択肢の1つとして、新しい可能性を提示できればと思います。

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