コラム

アトレティコ・マドリーはいかにして“二強時代”に終止符を打ったのか。巧妙な守備戦術の極意

2017年01月19日

世界でもトップの実力を持つクラブ、レアル・マドリーとバルセロナ。両チームが属するスペイン・リーガエスパニョーラは、04-05シーズンから12-13シーズンまでこの2チームのいずれかが優勝を果たしていた。その“二強時代”に終止符を打ったのがアトレティコ・マドリーだ。アトレティコは以下にして、スペイン二強時代に終止符を打ったのか。『4-4-2戦術クロニクル』からアトレティコ躍進の秘密を紹介する。

(文●西部謙司 再構成●ジュニサカ編集部 写真●Getty Images)

『4-4-2戦術クロニクル』より一部転載


LISBON, PORTUGAL - MAY 24:  Gareth Bale of Real Madrid tries to go through the Atletico defense during the UEFA Champions League Final between Real Madrid and Atletico de Madrid at Estadio da Luz on May 24, 2014 in Lisbon, Portugal.  (Photo by Shaun Botterill/Getty Images)


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4─4─2型として最強のアトレティコの強み

 バルセロナとレアル・マドリーの二強リーグだったリーガ・エスパニョーラは、アトレティコ・マドリーの台頭で三強に変化した。スペインの両雄に肩を並べたアトレティコは、自動的にCLでも優勝候補の一角になっている。

 バルサ、レアルに対抗するための堅守速攻に徹したプレースタイル。基本フォーメーションは4─4─2、この型のチームとしてはおそらく世界最強だろう。

 アトレティコは2トップを守備組織に組み込んで、従来の8人ブロックから10人に増員して守備を強化した。「間受け」と「ニアゾーン」という4─4─2の構造的な弱点を克服しているのも大きい。

 ゾーンディフェンス攻略のポイントは、MFとDFの間へパスをつなぐ「間受け」だ。

 MF4人とDF4人、この8人を線で結ぶと3つの四角形ができる。それらの中心にパスをつながれると、周囲の守備者4人はそこへ向かって収縮する。収縮することでボール保持者への圧力は強まるが、それだけ周囲にはスペースが空く。収縮してボールを奪いとる前に、広がったスペースへボールを逃がされてしまうと、守備のバランスが崩れやすくなる。

 もちろん絵に描いたように四角形が3つできているわけではないし、「間」へパスを入れられたときに周囲の4人全員がボールへ向かうわけでもない。だが、「間受け」をされると守備側がポジション修正を迫られる。そのぶん攻撃側に使えるスペースが生まれ、守備側には不利な状況になっていく。ごく単純化すると、守備側のFWとMFの「間」へつなぎ、さらにMFとDFの「間」へつなげば、次のパスでディフェンスラインの裏へ入ることも可能なのだ。

 アトレティコは、この構造的な弱点をかなりの程度潰すことに成功している。

 まず、引いて守る際には2トップがMFのラインに近づいているので、FWとMFの間のスペースを自由には使われない。ここを自由にやらせないので、必然的にMFとDFへの「間受け」もされていない。

 攻撃側がアトレティコのFWとMFの間に入ってパスの起点を作れないとなれば、バイタルエリアへつなぐパスの距離は長くなる。MFとDFの間へつながれても寄せる時間があるので、そこで潰せる確率が高くなるわけだ。さらにMFとDFの間隔自体も狭く、「間受け」に十分なスペースを攻撃側に与えていない。

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守備側のDFとMFの間でパスを受けることで、守備側のDF、MF動き、使えるスペースが生まれる

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