「日本の若い選手は敵のいない状態でのシャドートレーニングをやりすぎる」横浜FM・モンバエルツ監督が語る、傑出した日本人選手が現れない“明確な原因”

2017年02月16日

インタビュー

日本代表を率いるヴァヒド・ハリルホジッチ監督と横浜F・マリノスを率いるエリク・モンバエルツ監督。両者は30年来の知人であり、“育成大国”として名を馳せるフランスフットボールに精通した人物だ。2月6日に発売となった『フットボール批評issue15』では、モンバエルツ監督にハリルホジッチ監督の実像や日本の育成現場について話を訊いている。その中で、モンバエルツ監督は日本から香川真司選手以来、海外で通用する若手選手がなかなか現れないことに対して「U-13世代の育成」と「フィジカル」の2つを挙げた。今回は「日本のユース教育」について、モンバエルツの見解を一部抜粋して紹介する。

(取材・文●フローラン・ダバディ 写真●Getty Images)

『フットボール批評issue15』より一部転載


YOKOHAMA, JAPAN - FEBRUARY 21:  (EDITORIAL USE ONLY) Yokohama F.Marinos head coach Erick Mombaerts looks on prior to the J.League 2015 pre-season match between Yokohama F. Marinos and Matsumoto Yamaga at Nissan Stadium on February 21, 2015 in Yokohama, Kanagawa, Japan.  (Photo by Kaz Photography/Getty Images)

モンバエルツが考える『悪い状況判断』

――もう一つの要素、ユースの教育については?

「日本の若い選手には、本当にテクニカルな面での才能に恵まれた人材が多い。でも、そのテクニックを使って、いかに戦術的に正しい選択をしていくかというテーマになると問題を抱え込んでしまう。この課題には、マリノスでもかなり取り組んでいる」

――戦術的な判断能力を身につけられる上限は、何歳ぐらいでしょうか?

「ベーシックなスキルは、19歳まで伸ばせると思う。その後は少し大変になるし、多くのトレーニングをしなければならないが、遅すぎるなどということはない。

 たとえば私は今マリノスで、アタッキングサードにおける動き方を身につけるためのトレーニングに力を入れている。4対2の局面での練習や、速い崩し方、素早い判断を磨くためにね」

――原因はやはり、練習方法にあるのでしょうか?

「日本の若い選手は、敵がいない状態でのシャドートレーニングをやりすぎる。たしかにシャドートレーニングをすれば足元のテクニックは磨けるが、頭を使うスキル、状況判断の能力も高めていかなければならない。状況判断のスキルは、実際にディフェンダーと相対しなければ磨いていくことができないんだ」

――悪い状況判断とは、具体的に言うと?

「パスを出さなければならないときにシュートを打ったり、シュートを選択すべき場面で、パスを出したりするようなプレーだ。もし3回チャンスが巡ってきたとして、そのうち2回、状況判断をミスしたのでは世界レベルでは通用しない。だからフランスのユースシステムでは、若い頃から、状況判断のスキルを身につけさせる練習を数多くこなすようにしている。たとえば15歳のころなどに4対2、あるいは3対2の状況で、波状攻撃をしかけていくためのトレーニングをするんだ」

――実践的な練習が肝になると。

「マッチアップする相手がいない状況や、逆に試合と同じように、敵の選手全員が揃っているようなシチュエーションで練習をしても、問題を解決するスキルは高まらない。解決すべき問題があまりに簡単だったり、逆に複雑になりすぎてしまうからね」

――では練習方法のレベルから、ユースの育成システムを変えていくにはどうすればいいのでしょうか?

「おそらくJリーグのクラブは、海外からもっと多くの指導者を招ねき、ユースシステムを強化する必要があると思う」

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