『独自の移籍禁止ルール』廃止へ。改めて考えたいジュニアの育成現場の今

2017年03月14日

コラム

移籍問題が“本質的”に改善される可能性

 欧州の事例などを見ると、協会発行の選手証によって移籍や試合出場が可能となる日付を第三者にもわかるように明示するなど、徹底した移籍管理が行われているケースもあるようだ。

 そもそも欧州各国では育成年代でも伝統的にリーグ戦文化が根付いており、子どもたちが自分のレベルに合わせたチームやカテゴリーでプレーできる環境が整っているが、これには移籍手続きが厳格、かつスムーズに行われるという明確なルールがセットとしてなくてはならない。

 ひるがえって日本の場合はどうか。4種では2年前に日本サッカー協会が旗を振り、リーグ戦がスタートしたが、現状、異なるチーム間の移籍は限定的だ。パワハラ指導者が移籍を拒んでくるケースは論外としても、たとえば、町クラブから上位のクラブチームへ移籍を叶えるケースでは、当初、親子ともども喜々として移籍するのだが、逆に上位から下位へ、つまり「一度下で揉まれてからまた這い上がってこい!」という再チャレンジを促す移籍の流れは、「現状ではほとんどない」と東京都で約25年間、町クラブを率いる指導者が実情をこう明かす。

「うちからある強豪クラブチームに行った子が全然試合に出られなくなったんです。そのクラブの若い指導者も1年契約の身で結果を出さないといけないから、本当に優秀な子だけを試合に使いたいという事情もわかる。やむをえず、その子に『戻っておいでよ』と声をかけるんですが戻ってこないんです。こういうケースで戻ってくることはまずないですね」

 曰く、日本人独特の“恥の文化”というものが上位から下位へ、いわば出戻りの移籍の流れを阻むというのだ。こんな日本独特の事情を背景に、今後、移籍の自由化とセットで進むべき真のリーグ戦の文化は根付くのだろうか。

※ここまで『フットボール批評issue12』より抜粋

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 冒頭にも記したが、今回掲載した記事は2016年7月6日に発売した『フットボール批評issue12』から一部抜粋したものだ。つまり、こういったグラスルーツからの“声”が日本サッカー協会に届き、今年3月に改めて各地の協会などに徹底が促されたということである。

 今回の日本サッカー協会からの通達で、今まさに移籍に関する問題で悩んでいるサッカー少年・少女たちの問題がクリアになるかは今後の都道府県サッカー協会、地域サッカー協会の対応次第だろう。また、こういった移籍に関する問題について、選手側、4種であれば保護者が正しい知識を備えておくことも重要になってくるだろう。

 ともあれ、日本の育成の現場では『プレイヤーズファースト』とはかけ離れた問題がおこっていることが現状だ。こういった問題が少しでも早く解決し、より多くの子どもたちがサッカーを楽しくプレーできることを願うばかりだ。

<関連リンク>
4種の移籍問題にJFAが動く!! 地域FAなどに『独自の移籍禁止ルール』撲滅を投げかけ


 

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