日本サッカーを世界トップへと導く守備のセオリー。イタリア人指導者が指摘する日本に足りない“遊び心”とは

2017年03月31日

コラム

フットボール批評での人気連載を一冊にまとめた書籍『守り方を知らない日本人』が話題になっている。共同作業でJリーグ、日本代表、育成年代の守備分析を行ってきたフランチェスコ・マクリ氏と宮崎隆司氏。エキスパート2人による緻密で真摯な分析にはどのような思いが込められているのか。本の発売を記念して、宮崎氏にマクリ氏へのインタビューを行ってもらった。(取材=2017年3月16日)

取材・文・写真●宮崎隆司


makuri

批判を目的とした分析ではない!

――まず、『フットボール批評』連載での15回の分析作業を終えた今、率直に何を思うのか?というところから話を始めましょう。

フランチェスコ・マクリ(以下、F) それはもうやはり『感謝』の一言に尽きます。欧州各国の視察には頻繁に行くとしても、また、毎年夏には米国やオーストラリアなどで指導しているのも事実ですが、それでもやはり私はここイタリアのサッカー場に生きる者ですから、どうしても考え方というか、サッカーの見方そのものに一定の偏りが生じてしまうのは事実だと認識するからこそ、今回こうして遠い日本のサッカーを目にする機会を連続して与えてもらったことは本当にありがたいですし、お陰でサッカーに対する考え方や見方そのものにも決して小さくはない変化が自分の中に生じているというか、とにかく幅が広がったと実感することができています。

 だからこそ、この機会を与えていただいた以上、可能な限り真摯な姿勢で分析に携わってきたと自負しますし、少しでも日本サッカーのために役に立ちたいと考え続けてきました。もちろん今もそう考えています。

――とはいえ、プロフェッショナルの試合を技術的に論じる上で批判が伴うのは必然であるからこそ徹底して客観的な分析に努めてきたのですが、この種の批評を続けることはやはり容易ではなかった

F 確かに。我々の分析に対する技術的な反論であれば大いに歓迎するのですが、それは一切なく、ときに我々を侮蔑するような言葉を受けることもあった。とても残念なことです。あくまでも私たちは東京(フットボール批評編集部)からの指示を受けて試合を見ているのであって、言うまでもなく批判を目的に分析しているのではない。そして事実を具体的に記しています。しかし、真実を書けばむしろ反発を招くことも少なくはないということなのでしょう。

 大切なのは真摯な姿勢でサッカーと向き合うこと。事実、私は現場で若い選手たちの成長のために何ができるかを懸命に考え続け、君もまた育成の現場へ足を運び続けている。我々は、例えばダニエレ・ルガーニ(現ユベントスDF)がエンポリの育成組織で成長していく過程を間近で見ながら、育成とはどうあるべきかを長きにわたって真剣に考え続けてきた。もちろん今日も考え続けている。その私たちの分析をどう判断するかはもちろん読者一人ひとりの自由なのですから、様々な意見があって然るべきだと思います。

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