改めて考えたい『プレイヤーズファースト』の本質。日本サッカー協会が向きあう競技人口数の推移と子どもたちが“楽しむ”ための環境づくり

2017年05月17日

インタビュー
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第14代会長就任から1年あまり。日本サッカー協会のトップとしてさまざまな現場へ足を運んだ結果として何を見て、何を感じたのでしょうか。ジュニア世代(4種)へのサッカーの普及と育成にテーマを絞り、田嶋幸三会長(59)のビジョンをうかがいました。

第4回となる今回は『登録と移籍等に関する規則』について田嶋会長の見解をうかがっています。2014年度から4種の『サッカー選手登録数』の微減が続いているなか、日本サッカー協会はグラスルーツに何を示していく必要があるのでしょうか。

【特集】就任から1年――。JFA田嶋幸三会長と考えるジュニアサッカーのこれから

取材・文●藤江直人 写真●佐藤博之


『プレイヤーズファースト』の精神を忘れてはならない

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――今回は去る3月9日に開催された日本サッカー協会(JFA)の理事会で、JFA加盟チームに登録されるアマチュア選手の『登録と移籍等に関する規則』の周知徹底を、各地域サッカー協会、都道府県サッカー協会、各種連盟へ呼びかけることが決まった件に関してお話をうかがいたいと思います。

 アマチュア選手、特に4種の小学生年代の子どもたちの移籍に関しては、各チームが設けている独自のルールが障壁となる形で、スムーズに行われない点が以前から問題視されていました。

「どのような意図でああいうこと、つまり4種年代の子どもたちの移籍を禁止とするローカルルールが生まれたのかは僕にも分かりません。同じ大会の期間中にAというチームで負けたので、次のBというチームに移籍して出場し続けるというケースは、もちろん許されないことです。そうしたこととは別に、移籍を容易に認めなかったり、移籍をしても1年間、試合に出場できないなどといった独自のルールをつくるのは、ちょっと言葉が厳しくなりますけれども、大人のすることではないと僕は思っています。

 大切なのは子どもたちがいつでも、どこでも自由にサッカーができる環境です。あるチームで試合に出られない状況になっていたら、別のチームに移って出ようと思ってもいいじゃないですか。そういう自由な発想で子どもたちのプレー環境を考えてあげることが、僕たち日本サッカー協会のあるべき姿だと思っているので」

――そのような問題が存在する、という声は田嶋会長の耳にも届いていたのでしょうか。

「届いていましたし、文書の形で直接受け取ったケースもありました。おそらくは多くの指導者の方々が、いろいろなことを考えた結果として、現在に至る状況が生まれたんだと思います。そうした方々が悪いというわけではもちろんないですし、あるいは将来を嘱望される優秀な子どもが他のクラブに引き抜かれる事態を防ぎたい、という思いも働いているのかもしれません。

 引き抜きというものがいいのか、あるいは悪いのかという議論は別として、やはり子どもが行きたいクラブでプレーさせるのが一番大事なこと。この連載で何度も取り上げてきましたけれども、僕たちはプレイヤーズファーストの精神を絶対に忘れてはいけません。その意味ではある程度、自由に移籍できる環境にすることが必要だと思っています。理事会での決定事項は各地域サッカー協会以下、都道府県サッカー協会、各種連盟を通じて日本全国に浸透させようと、いや、浸透させなければいけないと思っています」

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