コーチングとは「その人が行きたい方向に進むのをサポートすること」。“発問指導”のスペシャリストが語る子どもの自立を育む秘訣とは

2017年06月02日

インタビュー

子どもの話に耳を傾けるには必ず3つのルールを守ること

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――サッカーはチームスポーツです。その中で発問によって個々の自立を促すには何から手をつけていけばいいですか?

 帰属意識を持てるかどうかはチームスポーツには大切です。その上で目標を持つこと。例えば、二人一組になって目標を伝え合う機会を作ります。『練習が終わった時にどうなっていたら最高?』と。ただし、ルールが3つだけあります。

1.答えはすべて正解
2.わからない、もOK.
3. そうだよねと仲間の考えを受け止める

 練習の始めと終わりにイメージするだけでトレーニングに意欲的になるし、チームの一員として練習に励んでいるんだと帰属意識が高まります

――3つのルールはポイントですね。

 これは聞く姿勢を養うために設けているものです。さっきの続きですが、目標を伝え合うことをやって、砂いじりをする子がいなくなったチームもあります。だいたいそういう子は『自分は試合に出ていないし関係ない』と、試合に出ることにしか価値を見出していません。でも、子どもたち同士で『今日の目標はどうだった?』と確認するくらいのことでも『ちょっと何かやろう』という気が起きるものなんです

――学年が上がるにつれ試合出場の有無、また出場時間に差が出てきます。

 現実的に全員を平等に試合出場させることは難しいと思います。ただ現実を受け止めさせるだけでは子どもの成長につながりません。だから『試合に出場したら何ができる?』という質問と『試合に出ていない時に何ができる』という質問をセットでするようにしています。そうすると、それぞれの立場でチームの一員だと認識できるようになるし、子どもたちなりにその時にで きることをやれるようになります

――その通りですね。

 質問の価値って、自分の発言に責任を持つことにあって、同時に言い訳できなくなる厳しさも出てくることにある。例えば指導者が『今日は3点差で勝つことだ』と目標を立て、そのためには『こうしたほうがいい』と答えを示す。そうしたら子どもたちにとって、それはすでに言い訳の材料ですよね?自分で決めたことを言葉で口にすると言い訳できませんから

――子どもの自立はサッカーだけで促すものではなく、日常生活の中でお父さんお母さんが身につけさせることが大きいです。家庭ではどうしたらいいですか?

 前提として、家庭でも3つのルールは同じです。よくあるのが、保護者が望む答えを言わせるように質問をしたりすること。それは保護者が答えを示しているわけなのでやり続けたら、子どもたちも考えることを止めてしまいすれ違いが起こる原因になります。現段階で良しとされる答えはあると思いますが、子どもの目線と保護者の目線はまったく違うものです。サッカーもピッチでは何が起こるかわからないでしょう? 子どもに人の話を聞く姿勢を望むのなら、保護者も同じようにどんな答えも受け止める姿勢が必要なわけです

――子どもは大人と異なる目線や発想を持っているものだし、それが当たり前です。

 子どもたち自身がどうなりたいのか、どうしたいのかを知ることが重要なんです。大人側が期待することは効果もあるので悪いことではありません。ただコントロールしようという意識が出始めると、そうできなかった時に怒りが生まれます。本人がどうなりたいのか。そして、今どうしたいのかが大事です。保護者の役割はコントロールではなく、サポートです

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