試合時間残り4秒から逆転!! 勝負を分けた“個の力”。マルバ茨城が2年ぶりの全国行きを決める/バーモントカップ 第27回全日本少年フットサル大会
2017年07月10日
バーモントカップ第27回全日本少年フットサル大会7月8日(土)取手グリーンスポーツセンター(茨城県取手市)にて行われた『バーモントカップ 第27回全日本少年フットサル大会 茨城県大会』の決勝は、malva ibaraki fc U-12(以下、マルバ茨城)が鹿島アントラーズつくばジュニア(以下、アントラーズつくば)を延長戦の末に7-3で下し、2年ぶりとなる全国大会への切符を勝ち取った。
文・写真●高橋大地/ジュニサカ編集部
毎年、勝利への執念を全面に押し出したフットサルが見られる茨城県大会。2大会連続の全国大会出場をねらうアントラーズつくばと2年ぶりの全国大会出場を目指すマルバ茨城の決勝戦も例にもれず、激しく熱い試合となった。
まず試合を動かしたのは、アントラーズつくば。前半2分、セットプレーからボールを受けた12番・樋口晴磨くんのはなったシュートがDFにあたりコースが変化。このシュートがゴールネットを揺らし、アントラーズつくばが先制に成功する。しかし、先制点の3分後、マルバ茨城10番・小嵐理翔くんが味方選手のシュートのこぼれを「気持ちで押し込んだ」と試合後に話したとおり、執念のゴールで同点に追いつく。
前半はその後も一進一退の攻防がつづき、お互いにチャンスをつくったがゴールには至らず。先制したアントラーズつくばのシュートは14、マルバ茨城は16本ものシュートをはなっていた。
後半になっても、両チーム一歩もゆずらない。なかでも、アントラーズつくばのGK・栗原秀悟くんと昨年も中心選手として活躍していた3番・小倉幸成くんが高い集中力を保ちマルバ茨城に付け入る隙を与えなかった。
良い守備をすれば必然と良い攻撃も生まれるもの。後半4分、アントラーズつくば3番・小倉くんが勝ち越しゴールを奪う。ついに均衡がくずれ、スコアは2−1。次のゴールを奪えば、全国への扉は大幅に近づく。そんな気持ちもあったのか、このゴールを機にアントラーズつくばは一気呵成に攻めたてる。しかし、立て続きにチャンスをつくるがマルバ茨城DFも体を張りピンチを乗り越える。すると、ドラマは試合時間残り10秒を切ったところで待っていた。マルバ茨城9番・菅井海翔くんが自陣からドリブルでマークを1枚はがしファーサイドにシュート性のパスをおくる。そこに走り込んでいたのは、マルバ茨城7番・佐藤凛音くん。
「試合時間が残り10秒をきっているのはわかっていました。だから、走ってボールが来るところを狙うしかないなと思って。頑張って走ったらパスがきて、決めることができました」(マルバ茨城7番・佐藤くん)
試合終了まで残り4秒。佐藤くんの劇的なゴールで同点に追いついたマルバ茨城と、すんでのところで勝利を逃してしまったアントラーズつくばの勢いは対照的なものになってしまった。5分ハーフで行われた延長戦では、開始30秒にマルバ茨城11番・市村大政くんがゴールを奪うと、その後、4点を追加したマルバ茨城が7−3でアントラーズつくばを下し、全国大会出場を決めた。
勝負を分けたのは、やはり残り10秒での劇的同点弾。縦へ運ぶドリブルからファーサイドへのパスと値千金のプレーを見せた9番・菅井くんは「(佐藤くんが)ファーに走っていたのが、見えていたのでパスをしました。時間が少なかったので、そこに出せば相手DFのズレもはっきりと見えていたので決まるだろうと思ってパスを出しました」と、冷静に自身のプレーを振り返ってくれた。
このプレーについてマルバ茨城の緑川毅輝監督は「残り4秒のところで(アントラーズのつくばの)縦が空いて。そこを選手が見逃さないでついてくれました」と振り返る。同点ゴールを生み出した、自陣からドリブルでの持ち出しはチームとして『いつもやっていることなのか?』と聞いてみるとこんな答えが返ってきた。
「相手が開いてれば間をとったほうが良いし、距離を詰めてくる相手であれば簡単に裏から入れて、ひとつラインをあげた方が良い。1対1の部分でボールをもたせてくれたなら、ボールを運んで数的優位つくってもいいよね、などそういったところはいつも選手みんなと話しています。だから試合で『これをやろう』というよりは、相手がこうだからこういう戦いかたをしたい、という話をしています。それが成長だよね、と」(マルバ茨城・緑川監督)
勝利に偶然はない。菅井くんがあの場面で自陣からのドリブルを選択した理由。ファーサイドに走り込んだ選手を視認してパスを送れた理由。それらのプレーがゴールにつながった背景が少し見えた気がした。
■ malva ibaraki fc U-12 緑川毅輝監督のコメント
決勝戦は本当に苦しい展開で、どちらが我慢をして相手のミスを見逃さないか、決定的なミスをしないかというところの戦いでした。これまでは『俺、やれる!』と、自分を信じることができないチームでしたが、残り4秒まで諦めずに、あそこでファー詰めできたことが試合を分けたかな。全国大会は2年ぶりなので、(マルバ)千葉とか他の地域でも負けてしまった分も全国で暴れたいなと思います。
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