何を伝え、身につけさせるのか。子どもの成長を促すサッカークラブを運営する上で知っておきたい大切なこととは

2017年07月27日

コラム

ジュニアサッカーの現場にはさまざまな疑問や悩みがつきもの。指導者から子ども、そして保護者の方々が抱くものを、ファンルーツの指導者たちがアドバイスします。今回はクラブ運営をしていく上で知っておきたい情報について、2つの疑問を解決します。

(再構成・写真●ジュニサカ編集部)

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.29』より転載



Q1

ジュニアのクラブを運営していくうえで大切なことは何でしょうか?


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(写真●中澤捺生/ジュニサカ編集部)

クラブとしてのビジョンを明確にすること

 まず、クラブとしてのビジョンを明確にすることです。子どもたちに何を伝えたいのか、身につけさせたいのか。指導者も選手も保護者も共有できるキーワードを作ると良いと思います。私たちのクラブ(FCトレーロス)の場合は「Football Plus one」というスローガンを掲げました。サッカーに真剣に取り組むだけでなく、サッカーを通じて何かほかのことも学んでほしいと考えたからです。例えば、身近なところからいうと、最近の子どもたちは食事の量が少なく、好き嫌いも多いという問題点があり、食事に興味を持ってもらう機会作りとして農作業を体験する機会を設けたことがあります。同じイベントを行うとしても、単なる思いつきの場合と、クラブのビジョンを見据えた上で取り組む場合では、影響力が違うと思います。「クラブが目指すもの」をハッキリと外部に発信することが大切です。
 
 プレー面においてもビジョン作りは大切です。クラブが理想とするプレーモデルを作り、指導者間で共有します。理想はあくまで理想ですが、それぞれの指導者が向かう先を一つにすることで、クラブの方向性を見失わずに成長していくことができるはずです。海外でも、バルセロナの育成コンセプトの素地を作ったオランダのアヤックスなどは、オン・ザ・ピッチ、オフ・ザ・ピッチともにビジョンが明確になっており、そのビジョンを共有するクオリティの高い指導者が多くいたことで知られています。歴史のあるクラブでは、ビジョンを深く理 解している教え子がスタッフになるケースもよく見られます。
 
 また、ビジョンを外部に発信する理由の一新規つでもありますが、地域社会とのつながりは重要です。クラブを立ち上げて運営していくためには、活動する地域の協力が欠かせません。例えば、クラブ運営にとっても、子どもたちにとっても「ここで活動している」と言えるような一定の練習場所を確保することが大事です。当然、近隣の住民の方との関わりも生まれるでしょう。また、近隣クラブとの関わりも生まれます。私たちのの場合は、大会を開いて強豪チームを呼ぶときに近隣クラブにも声をかけたり、指導スタッフが他クラブにアドバイス を行ったりと、地域の活性化も目指しています。自分のクラブだけが良くなるだけでなく、地域の土壌を肥やしていくことで、皆が良い方向へ向かっていくようになるのではと思います。
 
 よく自分の子どもが小学生になったときにジュニアチームを立ち上げたいという親御さんがいますが、自分の子どもが卒業すると同時に熱意を失ってしまうケースもあります。クラブとは継続性が大切です。ビジョン作りをするときは、長期的視点で考えるべきだと思います。

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