久保建英、平川怜など「ユース世代」を成長に導く”J3の舞台”が意味する選手の育成

2017年10月11日

インタビュー

TOKYO, JAPAN - MAY 06:  Takefusa Kubo of FC Tokyo in action during the J.League J3 match between FC Tokyo U-23 and FC Ryukyu at Ajinomoto Field Nishigaoka on May 6, 2017 in Tokyo, Japan.  (Photo by Etsuo Hara - JL/Getty Images for DAZN)

“強くて、速くて、うまい”J3の相手を上回るためにユース選手が求められる技術とは

――J3ではユースの選手がおとなに対抗しなければいけませんが、フィジカル差のある相手を上回るにはどうしたらよいのでしょうか。

中村 ユースの選手にしてみれば、J3の試合では、強い、速い、うまい相手に圧迫される局面が多くなると思います。そこでポジショニングを修正しながら最適なポジションどりとは何かを学んでいくことになりますし、ひとつのパスミスが失点につながる経験から精度を高め慎重なプレーを心がけるようになる。トップレベルではちょっとしたミスが勝敗に影響すると、身をもって知ることで、緊張感が増していきます。

 たとえば、かんたんなパスでもその強さでよかったのか、ちょっとずれたことで次の選手がやりづらくなっていなかったかと、質にこだわる意識が生じたり。ミスやゆるいプレーひとつでボールを失うと奪い返すのが大変ですから、そうすると攻撃の技術を上げなくてはいけない。個人の技術で言えば、相手のプレッシャーが速いので、周囲を見ておくことが大切です。相手のプレッシャーが速いのであればワンタッチではたくことも必要ですし、フィジカルを強く押し出してくる相手にはコンタクトを磨く以外にも工夫が必要です。一例を挙げれば、久保選手は、すっと早くからだを入れることでファウルを誘ったり、相手がプレッシャーをかけにくるところをワンタッチでかわしたりすることができる。言い換えるとそういうものをまったく持っていない中学生や高校生をプロの試合に出すことはできません。

 2004年、中学三年生でJ1に出場した森本(貴幸)選手は、その年代にしては考えられないほどの、高校三年生なみに強いフィジカルがありましたけれども、あれは特別な例だと思います。おとなのなかに中学生や高校生がまじればスピードとパワーで劣るのは当たり前のことですから、そこで相手がどういうふうに飛び込んでくるかを見て感じながらプレーできる能力が、 フィジカル差を克服するうえでは重要になると思います。

――早ければ小学校を卒業して三年後にプロでプレーする可能性が大きくなってきたわけですが、ジュニア世代が近い将来に備えて考えておくことはありますか。

中村 いくらドリブルがうまくても周りが見えないのではけがをするリスクが高まるので上のカテゴリーには出場できませんし、フィジカルが強くても技術が足りない選手は上に上げずに技術を磨いたほうがいいのかもしれません。そのようなスキルが、飛び級によって上のカテゴリーでプレーするときに必要になるはずです。

――最後にあらためて、ユースの選手がJ3に出場している現在の状況をどう感じますか。

中村 学年制が取り払われ、誰にでも可能性が出てきたという言い方はできると思います。FC東京にはいままで飛び級のようなことはほとんどありませんでした。でもJ3でFC東京U-18の選手がプレーしている姿を見れば、中学生や高校生の選手たちは「自分にもやれる可能性がある」と捉えるでしょうし、そうした意識の変化を考えれば、J3でもプレーできる高校生以下の若い選手たちの登場が“垣根”を壊した影響はあると思います。


<プロフィール>

中村 忠(FC東京U-23監督)

日本代表としての経験に加え、読売・浦和・京都で守備のマルチプレーヤーとして活躍。2004年に引退後は、豊富な選手経験を活かし、指導者として幅広い年代の育成にあたってきた。12年にFC東京U-15むさしにコーチとして加入、13年には同チーム監督に就任。U-18コーチを経て、16年7月よりトップチームに活躍の場を移す。

 

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