岩渕真奈、ケガをきっかけに向き合った自らの“現在地”。多様な経験を還元し、なでしこのエースへ

2017年12月12日

インタビュー

8日に開幕した『EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会』。なでしこジャパンのエースとして活躍するのが岩渕真奈選手(INAC神戸レオネッサ)。苦戦を強いられた韓国戦では、勝利をもたらす決勝ゴールをあげた。12月6日(水)発売となる『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.47』では、岩渕選手のインタビュー記事を掲載。今回はその一部を紹介する。

取材・文●木之下潤 写真●Getty Images

ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.47』より一部転載


CHIBA, JAPAN - DECEMBER 08:  Mana Iwabuchi (L) of Japan celebrates scoring her side's third goal with her team mate Yuka Momiki (R) during the EAFF E-1 Women's Football Championship between Japan and South Korea at Fukuda Denshi Arena on December 8, 2017 in Chiba, Japan.  (Photo by Masashi Hara/Getty Images)

――6月に日本復帰を選択されました。まず、その思いを聞かせてください。

岩渕「ドイツには4年3か月いましたが、2シーズン近くはケガをしていました。環境を変えたかったので日本復帰を決断し、6月にINAC神戸に移籍してきました。リハビリも日本なら言葉が通じるし、気持ちも和らぐところがあるので、ここで一からやり直そうという思いです」

――INAC神戸を選んだ理由は?

岩渕「いくつかのクラブから声をかけていただきました。その中でINAC神戸を選んだのは、熱心に誘ってくれた松田岳夫監督の元でもう一度プレーしたかったからです。監督とは、私が14、15歳のとき、日テレ・ベレーザで一緒にやっていました。あの頃は練習にすらついていけないぐらい下手でしたが、それでも試合に使ってくれました。でも、全く貢献できなったので悔しい思いをしていました。だから、成長した姿を見せたかったですし、また監督にサッカーを教わりたかった」

――「下手だった?」とのことですが、私たちからすると、岩渕選手は各年代の代表を経験するエリートに見えています。

岩渕「ちょうどトップの(日テレ)ベレーザに昇格した頃で、周囲がうまい選手ばかりでした。止める蹴るという基本プレーのレベルは高いし、守備もうまかった。本当にボールを受けたくなかったし、受けるのが嫌でした。でも、試合に起用されていたから泣き言も言えず練習が嫌いでした」

――その頃を今振り返ってみると、何が足らなかったのでしょうか。

岩渕「ただただ、技術です。武器のドリブルを評価されていたと思うのですが、ボールを持っても仕掛けることしかできませんでした。でも、すぐボールは取られるし、その繰り返し。今考えても、なぜ起用されていたのかという思いは持っています」

――だからこそ今度は、松田監督の力になりたかったわけですね。復帰直後はリハビリをされていました。その間は、どんな思いで自分と向き合っていたのですか?

岩渕「いい意味で『仕方ない』と割り切り、目の前のリハビリメニューを黙々とこなすことに集中していました。ケガのことばかり考えてもネガティブになるだけですから。『サッカーが好きだ』という気持ちで前向きに取り組んでいましたし、まわりの人たちやファンが応援してくれました」

――具体的には、フィジカルの強化をどのように行ったのでしょう。

岩渕「膝をケガしたので筋力をつけることは意識してやっていました。これまで自分のスピードをコントロールできず、急ストップしたときに外足筋が切れてしまったりしていました。『プレースタイルを変えたら?』とも言われましたが、それはできません。変えたら何も残らないし、それなら引退しかありません。なので、自分のプレーの動きに耐えられる筋力をつけ、無駄なものを可能な限りそぎ落としました」

――客観的に、岩渕選手はご自身のプレーをどのように分析されていますか?

岩渕「私の場合はまわりの人たちにも言われますが、昔から『仕掛け』のところは違うのかなと感じています。それは『相手を抜く』ことが、自分も好きだから」

CHIBA, JAPAN - DECEMBER 11:  Mana Iwabuchi of Japan and Liu Shanshan of China compete for the ball during the EAFF E-1 Women's Football Championship between Japan and China at Fukuda Denshi Arena on December 11, 2017 in Chiba, Japan.  (Photo by Masashi Hara/Getty Images)
【8日に開幕した『EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会』でキレのあるドリブルをみせる岩渕選手。韓国戦では決勝点もマークした(写真●Getty Images)】

――それは、小さい頃から?

岩渕「小学生の頃は男子のチームに混ざっていましたが、必ず仕掛けていました。1対1は勝つまでやっていましたし、男子に負けるのが悔しかった。ドリブル練習でライン通過したら勝ちというゲームがあったのですが、私は体が小さかったからみんなに必死でついて行っていました。勝つまでやって勝ち逃げしていたからチームメイトからは嫌われていたと思います(笑)」

――ドリブルはドイツでも十分通用したと思いますが、日本との違いは何でしたか?

岩渕「スピードです。単純に走るスピードはもちろん、パススピードやゴールに向かうスピードが圧倒的に日本より上です。帰国して感じるのは、やはり日本人の技術力の高さです。本当にボールを扱うのがみんな上手です。理想はそれぞれのいいところを身につけることですが、スピードはフィジカル面が大きな影響を及ぼすので、さらに技術力を高めることが大切です」

――ドイツで一番学んだことは何ですか。

岩渕「自分を出す気持ちです。向こうは、どの選手もしっかり自分を表現します。それができないと試合には出場できないですし、それは日本人にはないところです。日本人が海外に行けば、技術が高いからこそそれを出さなければいけない。しかも意見がぶつかったときに自分の考えを言えなければなりません。それができなければ相手に合わせることになりますから、自分のプレーを出せません。そこは以前に比べると、自分でも成長した部分だと思います」

(続きは12/6発売予定の『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.47』にてお楽しみください)

岩渕真奈03


ジュニサカ最終表紙_ss
【商品名】ジュニアサッカーを応援しよう! VOL.47
【発行】株式会社カンゼン
2017年12月6日発売
A5判/並製/176ページ
◆特集 ネイマール、メッシを追い越せ!ドリブル完全マスター
◆【付録DVD】
ガンバ大阪・倉田秋選手に学ぶ!ドリブル上達の極意 他

<おもな企画>
●前園真聖氏に聞く!ドリブルの極意
●サイドアタッカーに求められるドリブル◇柏好文(サンフレッチェ広島)
●スペインではドリブルと言わず「運ぶ」と「抜く」で表現する
●南米サッカーをドリブルで斬る!力関係から各国のあの手この手が見えてくる
●ジュニア年代ドリブル指導術
・RIP ACE SOCCER CLUB(大阪府)
・ファナティコス(群馬県)


 

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