指導よりもまず共感。“広島のばっちゃん”が語る「子どもと接するうえでのルール」
2017年12月13日
子育て・育児1980年から保護司を務め、非行に走る少年・少女たちに寄りそってきた中本忠子さん。中本さんは、とある少年の言葉から「子どもは、お腹がすくから悪さをする」と知り、無償で子どもたちに食事を提供するようになり、多くの子どもたちの更生を手助けしてきた方です。今回はそんな中本さんの著書『あんた、ご飯食うたん? 子どもの心を開く大人の向き合い方(2017年12月13日発売)』から子どもたちとの接し方について一部抜粋してご紹介します。
(著者●中本忠子 再構成・写真●ジュニサカ編集部)
『あんた、ご飯食うたん? 子どもの心を開く大人の向き合い方』から一部転載
指導をするよりも子どもの気持ちに寄りそう方が先
子どもたちと会ってすぐ、指導に入る人がいるんです。詰問と指導です。きつい言いかたで、ああせい、こうせい、と言う。
私は、いきなり子どもに詰問、指導をするのはやめたほうがいいと思っています。ある一定の人間関係ができた上で、子どもたちの様子を見ながら指導に入る、という方法をとるべきでしょう。初めから指導が入ったら、子どもたちは寄り付いてきません。
子どもによっていろいろなケースがあるけれど、どんな子どもに対しても、まず、気持ちに寄りそって信頼関係を作る。これが先です。その上で一緒に行動する。それからであれば、かならずこちらの話に耳を傾け、聞いてくれるようになります。
詰問や指導を急ぐのではなく、まずはこちらの方から子どもの気持ちを理解して共感すること。共感に勝るものはありません。
私は、今は何かにつけて、「共感が大事」と言っているけれど、最初にこの活動を始めたころには、今ほどは子どもに共感する能力は持っていませんでした。
これはやはり年季の問題があるのでしょう。私でもたくさんの経験を積んでそうなっているわけで、はじめのうちは、今のように焦らず時間をかけて信頼関係を作るということはできませんでした。
最初のうちは、何もかもわからないことだらけ。私は少年犯罪についてもまったくの素人です。福祉の勉強をしているわけでもない。命令するほど相手のことを知らないこともわかっていたので、命令調で言うことはしなかったけれど、そのかわり、なんでも疑問文で聞いていたんです。
「こういうふうにしたらええと思うんだけど、どう思う?」
こういう感じで。
命令なんてされたら、私もいやです。でも、中本さん、ああしてもらえん? と疑問文で言われたら、はいはい、と少しは聞きやすくなる。私は自分の息子たちにもみんな疑問文でものを頼んでいました。「あれ、取ってもらえん?」という感じで。命令文は疑問文である、という言葉を自分で作って(笑)。
今では子どもには共感が先ということができるようになっています。やっぱり、うちに来るような子たちは、みんな苦しいんです。だから、最初からこちらから命令や指導を一方的に伝えるのではなく、子どもたちのことを理解して共感することを最初にしなければいけないと思っています。しんどい荷物を一緒に持ってあげるような気持ちで、「苦しいね。うちも一緒に苦しんであげる」と伝えること。
そうしたら、「ほんまですか?」とみんな言いますよ。
「そのかわり、その苦しみを早くのけるようにしようね。うちもがんばるけん、あんたもがんばってくれる?」と言うと、がんばります、と返って来るようになります。
私なりに、自分でやってみて、あれはよくなかった、とわかり出したら、悪いことはどんどん捨てて、よりよいやり方に変えてきました。試行錯誤を繰り返して、少しずつ、共感する能力が身についてきたように思います。私も最初から無条件に共感できていたわけではないんです。
【書名】あんた、ご飯食うたん? 子どもの心を開く大人の向き合い方
【発行】カンゼン
【著者】中本忠子
【発売日】2017/12/13
⇒子どもは信頼できる大人を見抜いている。子育てや親子関係に悩むあなたへ。約40年にわたり、居場所のない子どもたちに手料理を作り続ける、広島のばっちゃんから心に効くメッセージ
<プロフィール>
中本 忠子
(なかもと ちかこ)
1934年、広島県江田島市生まれ。1980年から保護司を務める。その活動を通じて犯罪を犯したり、非行に走る子どもの多くが「お腹がすくから悪さをする」と知り、それ以降無償で子どもに食事を提供するようになる。保護司を引退後、2015年にNPO法人「食べて語ろう会」を設立し、同法人の理事長に。2014年に法務省保護局長特別感謝状受賞。2015年に社会貢献支援者表彰受賞。2016年吉川治文化賞、2017年に第26回ペスタロッチ一教育賞を受賞。
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