全少はあくまで通過点。「子どもたちをみんなで育てる」北海道コンサドーレ札幌が地域と協力して行う育成の取り組み/全少決勝大会レポート

2017年12月30日

育成を考える

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地域の協力のもと「みんなで子どもたちを育てる」

 北海道は11月下旬から4月頭まで屋外で練習できる環境にないそうだ。だから、北海道コンサドーレ札幌の子どもたちはその間、平日は体育館で練習し、週末に隣町の伊達にある人工芝グラウンドを確保し、そこで練習や試合を行っているという。

「11月下旬から外での練習ができないなか、天然芝のグラウンドで試合をしたのも10月の道内予選以来です。他の地域のチームは常に毎週末に試合をして、いいコンディションを保つことができることにうらやましい気持ちもあります。でも環境は変えられないし、今の自分たちの実力は出せたのかなという思いはあります。決勝という緊張からくる体の固さは確かにありましたし、最後まで取れなかったです。ただ、この経験ができたことが、子どもたちの財産になったと思います」

 その財産の中には『地域の人たちへの感謝』が含まれている。今年は大会前に人工芝のグラウンドで練習したそうなのだが、その前日に10㎝の積雪があったそうだ。でも、地域の人たちが除雪をしてくれたという。昨年は外のグラウンドで練習することなく大会に臨んだが、「今年はいい準備ができた」と地域の人たちに感謝をしていた。

 浅沼監督をはじめ、北海道コンサドーレ札幌のスタッフはその上で大会を通じた自分たちの現在の立ち位置を冷静に把握していた。そして、他のクラブと比較して「考える力が劣っていた」ことをしっかりと見つめていた。

「今大会、うちの選手たちは体の強さが目立ちました。ただ中学生、高校生になるとそのアドバンテージはほとんどなくなります。そうしたときに必要なのは『考える力』です。今後、同世代の選手たちとフィジカル的に同じ土俵に立ったとき、今のままではまったく何もできない選手になってしまいます。私たちはそうならないように指導していかなければならないし、選手たちもそこを養わなければならない」

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【コンサドーレの守備を支えた3選手。3番・須摩耀平くん、4番・白井卓翔くんは身長170cm以上。5番の小宮真輝くんも160cm。運動能力の高さが目立った。(写真●編集部)】

 コンサドーレのアカデミーは「シンキングサッカー」がテーマだ。少なくとも今大会を取材するなかで、その部分を他チームと比較してもコンサドーレが勝っていたわけではなかった。

「考える部分は全然できていませんでした。考えて判断してプレーするという点では、決勝戦も目の前のことだけに追われていました。本来は目の前の状況を変えるために選手たち自身が考えて声を掛け合い、この状況をどう打開すればいいのかを試合の中で解決すべきでした」

 優勝したセレッソ大阪の子どもたちはアイコンタクトや声を掛け合い、自分たちで同点ゴール、そして逆転ゴールをもぎ取った印象がある。その証拠にキャプテンの渡辺皐くんは試合中ずっと周囲に声をかけ続けていた。味方を鼓舞し、コミュニケーションを図ったことも逆転優勝につながった要因だろう。彼らは監督の指示を待つのではなく、自分たちで状況を変える努力をしたのだ。

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【優勝したセレッソ大阪U-12のキャプテン渡辺皐くん。彼のキャプテンシーなくしてセレッソの優勝はありえなかった。(写真●佐藤博之)】

 育成環境という点を考えたら、北海道以外のクラブは他県との交流試合が可能だ。当然、指導者と保護者の理解の上で成り立つものだが、北海道はそれがなかなか難しい。しかし、コンサドーレはそこに対する取り組みも、札幌サッカー協会と地域クラブと一緒にアプローチをしている。

「保護者の経済的な負担があるので、私たちは自チームでも道外遠征を頻繁にできるわけではありません。だから、札幌サッカー協会さんと地域クラブさんと協力をして、うちの選手だけでなく他のクラブの選手たちも含めて全体で育成に取り組んでいます。

 その一つがトレセンを活用した道外遠征です。うちの選手と地域クラブの選手を集め、私たちではなく、地域クラブの指導者の引率のもとトレセンチームとして年に一度だけ道外遠征に行くんです。遠征費は札幌サッカー協会の予算をつけてくれているので、保護者の負担も減ります。地域クラブの選手たちにとっても、うちの選手たちにとってもすばらしい経験です」

 そうやって地域全体で「子どもを育てる環境を作る」ことにトライしている。だから、北海道コンサドーレ札幌のスタッフたちは地域の人たちへの感謝の気持ちを忘れない。

 選手育成は一つのクラブだけで完結できるものではない。選手たちはジュニアユース、ユースになればいつか一人の指導者のもとから巣立つのだから。そう捉えると、浅沼監督が「この大会も通過点の一つですし、私たちは次のジュニアユース年代にいい形でバトンを渡したいと感じています」と言ったことが心にスーッと入ってくる。

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