「プレー機会の平等をどのように創出するのか」。ジュニア年代に問われている課題と、その解決が将来につながる一歩である

2018年01月09日

育成を考える

名古屋グランパスU-12

「JFAしか変えられない環境がある」との声をどう受け止めるか

「この年代では、多くの選手に可能性がある!」
(誰が将来良い選手になるかは分からない)
「この年代では、チームのやり方やポジションの役割よりも状況に応じてプレーできる力をつけさせることが大事!」
(将来どのポジションでプレーするかは分からない)
「特定の選手だけでなく、チーム全体のレベルアップを図ることで最終的に良いチームに!」

 すべての子どもたちに経験を積ませたい。そのために指導者がやるべきことと、JFAがやるべきことは違う。2017年度だけでも、何人の指導者の口から「やはりトップダウンでしか変えられない環境がある」と耳にしたことか。JFAが発している言葉は、現場にとって百も承知のことだ。指導者をはじめ、現場を動かす人々にとって必要なことは具体的な施策とそれを実行できる環境である。

 選手たちの環境をいい方向へと変えていくのが指導者の務めなら、指導者たちの環境をいい方向へと変えていくのはJFAの務めなのではないだろうか。

 交代が少ない理由は少子化という社会的な問題も絡み、それぞれの地域によっても事情が異なるし、クラブによっても様々だ。しかし、育成を本分とするジュニア年代にとって「必然的に優勝が一番の目的になる大会」が6年生の間にいくつもあっていいのだろうか。

 現在の日本では、高学年になると子どもたちはリーグ戦と地域のカップ戦を合わせると信じられないほどの試合数をこなす。その中に、全国大会とその予選が組み込まれる。自然に子どもたち、いや指導者を含めて全国大会には目の色が変わる。でも、当たり前のようにその他の試合や大会に招待されたら参加するのだ。

 本来、ジュニア年代は「育成が目的である」はずなのに、指導者も選手も目の前の日程をこなすことだけに追われている。そういう姿を見ていると、特に6年生の年間スケジュールは再構築する必要性を感じる。そうすると、同時にリーグ戦の在り方とカップ戦の組み込み方を見直さなければならない。

 こんな声をあげたら、JFAは「地域の大会は管轄外だから」「都道府県協会に任せている」などと言いそうだ。なぜならJFAが主催する全国大会は「全日本少年サッカー大会」だけだからだ。他の大会は後援などにとどまる。いずれにしろ結果的には、あらゆる問題の解決を先送りにしているだけであり、現場の指導環境、子どものプレー環境をどんどん悪くさせているだけに過ぎない。

 現状、6年生の年間スケジュールだけに目を向けても、ゆとりのない詰め込んだ指導環境に陥っている。それなのに現場の指導者には、子どもたちに「気づき」を与え、自分たちで課題を解決できるようにとうながしている。リーグ戦とカップ戦、そして全国大会とその予選を目まぐるしくこなしつつ、日々の練習で将来を見据えた目標に向かう。

 これが理想なのだろうが、そんなことは大人でもできない。実際、現場の指導者たちは目の前のことに忙殺されているのが現実なのだ。ゆとりのない指導でいい選手が育つとは到底思えない。

 もっと子どもにとって、指導者にとって、自分を振り返るだけのゆとりある育成環境を作るにはどうしたらいいのか。

 そういう観点で、JFAがトップダウンで改革をしてくれることを切に願う。ジュニア年代にたずさわる指導者たちは子どものために全力を尽くし、日々勉強して試行錯誤を繰り返している。だからこそJFAには様々な批判や逆境を恐れず、トップダウンでしか変えられない環境を育成現場のために作ってほしい。

 余談だが、全日本少年サッカー大会に愛知県代表として出場していた「名古屋グランパス」は全員が一定時間出場していた。結果は予選グループ敗退。私自身は別の試合を取材していたのだが、ジュニサカ編集部のスタッフが宮崎県代表の太陽宮崎SCとの初戦に2対3と逆転負けを喫した後、泣いている選手がいたと教えてくれた。

 それでも全員出場を貫き、大会を戦ったことは一人ひとりの財産になったことだろう。それを聞き、2日目のアヴァンツァーレ山形(山形県)との試合を観戦したが、全員の動きにキレがあり、精神的にフレッシュな状態でプレーをしていた。結果は5対0と大勝だった。他のチームは初日に比べると明らかに動きが鈍く、プレーの精度を欠き、プレースピードが落ちていた。

 育成には、「プレー機会の平等を創出することが必要不可欠」だ。

 そのために何が必要で、どんな改革を行わなければならないか。JFAの言い方をマネれば、子どもたちはプレーするほど伸びるが、誰がサッカーを続けるかはわからない。お腹いっぱいの選手はサッカーではなく、他のスポーツを選ぶ可能性もある。

「日本の選手はトレーニングしすぎだ」と練習時間の短縮をうたうなら、「1日に一人1試合を集中して戦う」環境も同時に作る必要がある。ワンデイトーナメントや数日をかけたカップ戦で一定の選手だけがピッチに立ち続けても、それは果たして育成といえるのだろうか。詰め込み指導のしわ寄せは必ずどこかでやってくる。

 いま現場の指導者たちの声に耳を傾け、ジュニアのプレー環境を変えなければ日本サッカーに明日はない。

 

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