「褒める」「叱る」だけではない、ミスの修正法。子どもの心に“自信の貯蓄”を

2018年01月17日

コラム

ミゲル・ロドリゴ02

『ゴール』がもたらす自信

「人の判断を、一番左右するのは感情だ」

 神経系の新たな研究によると、そんな結果が出たらしいのです。人間が判断・決断をするときに使う脳の場所を調べたら、感情の作用していることろが光るのだそうです。人間の決断は「ハートが決めるのか?」、それとも「頭が決めるのか?」と、永遠のテーマとして議論がなされてきましたが、これまでは「頭だ!」と、多くの専門家たちが答えていました。しかし最近の研究で、実は「ハート=感情が決める」というのが判明したそうなのです。これは今世紀最大の発見と言われています。

 つまり、「感情が決断を導く」のです。

 そう捉えると、「サッカーは判断が重要だ」と強くうったえていますから、子どもたちがいいプレーをするには「いかに強い感情を抱けるのか」にかかっているということです。もちろん感情はアップダウンを繰り返すものだからそれを上手にコントロールすることが大切です。ただ、それができればサッカーがうまくなるのです。

 だから、まず子どもたちの『パッション』、つまりは『サッカーへの情熱』を表に出させることがプレーの上達に大きくつながるということです。そこで、私がジュニア年代のすべての指導者たちに伝えたいのは、次のことです。

「いかに心に『自信』というガソリンを満タンにしておけるか」

 自信はプレーに現れます。日々のモチベーションも大きくかかわっていますし、ポジティブに考えられることもかかわっていますし、コミュニケーションもかかわっているでしょう。指導者の行動や言動によって、「自信に満ちあふれたプレーか、そうでないか」という結果が大きく変わります。そういう点では、前述した「ミスをどう修正するか」という構成も自信をつけさせることに深くかかわっています。

 練習メニューの内容も、子どもに自信をつけさせる1つの手段です。

 やはり最終的に行き着くところは『モチベーション』だと思っています。これが、「子どもたちが自信をつける」ことに大きく寄与しています。きっと仕事も同じではないでしょうか。会社の上司に「そうじゃない」とか、「こうじゃない」とか言い続けられ、提出した企画書を破られたら自信なんてつきません。

 逆に「すばらしい」と認められ、その上で「このポイントをこう修正し、もう一度提出してくれ」と伝えられたら、修正点に関して、部下も受け取り方や捉え方が違う印象を持つはずです。自信がつき、さらにモチベーションが高まれば、いい判断がどんどんできるようになります。すべてはつながっているから、子どもたちがいい判断ができるのは偶然ではないのです。

 ジュニア年代の子どもたちは楽しめば、「次の練習に行きたい」という気持ちになるでしょう。練習に行きたいということは、モチベーションが高まっている証拠です。今日の最後の練習メニューが終わった後、彼らが「もっと練習をしたい」、「早く次の練習日が来てほしい」という気持ちにさせるのが非常に大切なことです。

▼高いモチベーションで練習する → 心に自信が貯金される

 この循環を生むのに欠かせないのは『ゴール』です。ゴールを決めることは感情も、モチベーションも、自信も、すべてを満たしてくれる最高の栄養素です。だから、私自身は練習のミッションの1つに「全員がゴールを決めて家に帰ること」を掲げています。とにかくゴールを入れたら、子どもは変わります。大げさなことをいえば、その日の練習でゴールを決めていない選手がいたとしたら、決められる状況を作ってあげたらいいと思うのです。それはPKでもいいですし、ちょっとしたサポートをしてあげてもいい。

 心から「またサッカーをやりたい」という感情が生まれる一番のドーピングはゴールです。もちろん、これは『私の指導レシピ』ですから、それぞれの監督やコーチが目の前の子どもたちから学ぶことも多いでしょう。

「今日の練習はどうだった?」
「今日は5回もボールを奪って、7回も守備をしたんだ」

 練習終わりに、こんな会話をすることは少ないはずです。守備に喜びを見出す子はそれほど多くはいないでしょう。もしかしたらテクニックを重視する子どもで「今日は又抜きを3回も成功させたんだ!」と喜ぶ子はいるかもしれません。しかし、ジュニア年代の子どもたちにとってゴール以上に満足感を得るものはないでしょう。日本の指導者には、このことを心に刻んでほしいです。

【連載】ミゲル・ロドリゴが教えてくれた「才能を引き出す」11の魔法


<プロフィール>
ミゲル・ロドリゴ

1970年生まれ。スペイン・ヴァレンシア出身。イタリアのルパレンセ・パドヴァやロシアのディナモ・モスクワ、スペインのカハ・セゴビアなどで指揮を執った経歴を持つ。2009年6月〜2016年2月までフットサル日本代表監督を務め、その後、フットサルタイ代表監督に就任し、現在はフットサルベトナム代表監督として手腕を振るう。FIFAインストラクター、スペインサッカー協会フットサル指導者資格を保持。

 

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