夢を叶えるために選んだ越境。FC東京U-15深川・安田虎士朗選手の挑戦/ジュニアユースプレーヤー成長記
2018年01月23日
コラム
【写真●山本浩之】
タイトルの獲得と年代別日本代表を目指す
「2年生で、こういう経験をさせてもらえたのは大きなことです。でも、やっぱり最後に勝つことができなくて悔しいです。次は絶対に優勝をしたいです」
安田選手にとって、優勝の持つ意味は他の選手たちとは、また違うものがあった。
FC東京U-15深川でプレーをしたい――。
小学6年生の安田選手の胸にはそんな思いが強くあった。通うことのできる範囲のクラブであれば何も問題はなかった。しかし北陸の石川県から東京までは直線で結んでも約300キロ。北陸新幹線を使っても金沢から東京まで2時間半から3時間が必要となる。到底、通えるものではない。サッカーをするために生活の拠点を東京近郊に移すのは必須だった。
距離のことだけではない。解決しなければならない問題は家族の前に次々と積まれた。けれども、両親、そして姉が、ひとつずつクリアしてくれた。虎士郎少年のサッカーへの想いを家族の絆が優しく包んでくれた。だから、自分自身が成長したあかしとしてもタイトルを手にした姿を見て欲しかった。
「まだまだですね。まだ足りないです」と安田選手は言う。これまでの2年間の活躍だけでは、家族に感謝の気持ちを伝えきれていないと感じている。
「これから年代別の代表に選ばれるようになって、自分が目標にしているプロへの道筋をつけたいです」
安田選手は、2016年8月に「U-13 2016Jリーグ選抜 海外キャンプ(中国)」のメンバーに選ばれ、世界30カ国が出場し40年以上の歴史がある国際ユース大会「2016 Gothia Cup China」を戦った。同年9月には、「JFAエリートプログラムU-13」でスペインに遠征した。
2017年になってからは「JFAエリートプログラムU-14」の一員としてアラブ首長国連邦(UAE)とオランダ、そして韓国遠征のメンバーに選出されるなど経験を積み重ねてきた。日本の男子サッカーは年代別の代表チームがU-15からある。安田選手は2003年8月14日生まれの14歳。一歩ずつ着実にステップアップを狙う。
「今、ここでサッカーをすることができてうれしいんです」と好きなサッカーに自身が望んだ環境で打ち込める喜びの方がプレッシャーをも上回っていた。
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