子どもはなぜ「ミス」に怯えてプレーする? サンフレッチェ広島が実践する選手に自信を与える言葉掛け

2018年04月09日

育成を考える

なぜ子どもたちは「ミス(ボールを失うこと)」を怖がってプレーしているのか。私がジュニアサッカーの現場を取材して1年が過ぎ、その背景が監督や仲間による「言葉掛け」にあることに気づきました。4月初旬に行われた「U-12ダノンネーションズカップ2018」でも否定的な言葉掛けによって、自信を無くし、プレーの質が落ちている選手を何人も目にしました。しかし、その反対にサンフレッチェ広島F.Cジュニアの選手たちは全員が伸び伸び楽しくサッカーをしていたのです。その理由には監督や仲間によるポジティブな「言葉掛け」にありました。

取材・文●中澤捺生 写真●中澤捺生、佐藤博之


否定的な言葉が子どものプレーの質を落とす

 ディフェンダーはセーフティーなパスを繰り返し、サイドハーフのプレイヤーはボールを持ってもドリブルで仕掛けずに、サイドバックやボランチにバックパス。フォワードはボールに関与しないようなポジショニングを取り出す。

 ジュニアサッカーの現場を取材して1年を過ぎ、多くの試合を観てきましたが、そのような選手が多いと感じます。なぜ、子どもたちは「ミス(ボールを失うこと)」を怖がってプレーをしているのか。その背景には監督が子どものプレーを否定するようなコーチングをしていることが原因にありました。

「なんでパスミスをするんだよ」
「なんでそんな簡単なシュートを外すんだよ」

 取材現場ではこのようなコーチングを耳にすることがありました。プレーを否定された子どもたちは試合の状況に応じたプレーをしなくなります。ミスをして怒られるとミスをすることを怖がり、ボールを奪われないことだけを考えてプレーをし始める子が多いです。ジュニア年代は試合の状況に応じて「考えてプレー」をすることが育成の本質なはずなのに、監督の言葉掛けによって、プレーの選択の自由が奪われていたのです。

 4月1日(日)、2日(月)に行われた「ダノンネーションズカップ2018 in JAPAN」でもそれを象徴するようなシーンがありました。

「(ボールホルダーに)突っ込め」というコーチングがあると、子どもたちはマークを外してでもボールを持っている選手にプレスをかけにいきました。マークに付いていた選手をフリーにして失点するリスクを高めてまでも、監督の声を最優先に動いたのです。

 ただ、子どもたちがミスに怯え「考えたプレー」をしなくなる原因は監督による否定的なコーチングだけに限ったことではありません。チームメイトによる声もプレーする選手に大きな影響を及ぼします。

 ある大会の取材でこんなシーンを目にしました。レギュラー組が前半に大量得点を奪い、後半に控え組のメンバーが出場しました。すると、レギュラー組が控え組のメンバーに対して「なんでそこでパスをだすんだよ」「なにしてんだよ」とミスした選手を仲間と小バカにして笑いあっていたのです。試合に出場していた控え組の選手は自信を無くしたのか、ミスを連発し、窮屈そうにプレーしていました。

「おい!何してんだよ」
「ふざけんなよ!」

 こういった仲間の声でモチベーションが下がり、プレーの質は落ちてしまいます。長年サッカーをしていた私にも経験があることですが、ミスをして仲間に否定的な発言をされると、頭の中が真っ白になることがありました。ボールに触れることを恐れ、チャレンジをしなくなります。パスを受けても「ミスをしない」ことだけを考えていました。サッカーは“ゴール”を奪うスポーツなのに”ゴール”を奪うことなど頭にありません。仲間に監督に叱責されないことだけを考えてプレーをするようになってしまいます。

 特にフォワードのポジションの選手は得点に繋がる大きな決定機を外すと否定的な言葉を仲間から言われることが多いです。そして、不満そうな表情をした監督に「なにやってんだよ」というような言葉を掛けられることもあります。そのような言葉を投げられた後に、決定機を迎えても「外したらどうしよう」と焦りが生まれてしまいます。

 ジュニアサッカーの現場を取材して1年。監督、仲間による否定的な言葉掛けが「伸び伸びとプレーできる環境」を奪っていると実感することは多々ありました。

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