新年度だからこそ改めて考えたい「目標設定」。サッカーの上達だけが目的ではない

2018年04月22日

メンタル/教育

目標が大事だ。そして、振り返りも…。昨今話題の『サッカーノート』は、単にサッカーがうまくなるだけのツールなのか。だとすれば、プレーに自信が持てない子どもたちは「別にやらなくていいや」と三日坊主で止めてしまわないだろうか。果たして『目標』や振り返りは本当に「サッカーがうまくなるだけのツール」なのだろうか。今回は、アスレティックカウンセラーの椎名純代先生の話に耳を傾ける。

(取材・構成・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部)

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.40』より転載

※この記事は、2017年1月31日に掲載されたものを再編集したものです。


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人としての器を大きくする作業が、結果的に選手としての器を大きくする

 目標が明確になれば、その実現に向けた行動がより力強いものになり、それに対する継続性と細やかな振り返りが生まれる。

 だから、自らが成長するためにプラスに働く。ここ数年流行っているサッカーノートや夢ノートは、子どもたちにその重要性を伝える一つのツールだ。ただ、この○○ノートも『サッカーがうまくなって、プロになるため』という目的だけで活用してしまえば、「上手じゃないからやっても変わらない」「プロになれなかったら無駄」との思考に陥り、結局、三日坊主で止めてしまう。

 オリジナルで目標設定シートを考案し、川崎フロンターレの育成組織でそれを書かせた経験を持つアスレティックカウンセラーの椎名純代先生は、なぜこのシートを書くことがサッカーの上達につながるのかを明らかにしてくれた。

「目標設定シートを続けた選手たちは、毎回の練習で『何ができて、何ができなかったのか』を記録として残せています。ようするに、目に見えなかった自分の努力が目に見えるようになります。そうすると、サッカーにおいてさまざまな気づきを発見できるのはもちろん、自分の成長の根拠がわかるから自信にもなるんです。これは一つのメンタルトレーニングですよね」

 先生が学んだアメリカの大学には、一般的にアスレティックカウンセラーが常駐していることが多いという。彼らの仕事は、スポーツ推薦などで入学してきた学生アスリートをサポートすること。推薦枠で入学した選手たちは模範生として人間性を求められるが、未熟な学生の一人だ。なのに、その中でさまざまなストレスを抱え、悩んでいる選手も少なくない。そのため、アスレティックカウンセラーは学業面とメンタル面のサポートをし、将来を見据えたしっかりとした人間形成を行っているそうだ。

「アスレティックアイデンティティという言葉をご存知でしょうか。スポーツ推薦で入学する学生アスリートは、選手としての自我が強く自信がある一方で、その競技で失敗してしまうと自信を失い、精神的に崩れる可能性をはらんでいます。

 だから、人として選手以外に『自分は何者であるのか』を知り、選手という存在は自分の中で一部のものであることを認知しておくことが重要なのです。そして、それぞれの器を大きくすれば人間の器そのものが大きくなりますよね。その人としての器を大きくする作業が、結果的に選手としての器を大きくすることにもつながるのです」

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