「行きたくない」の一点張りだったイニエスタ。知られざるバルサ入団の秘話【前編】

2018年05月21日

サッカーエンタメ最前線

今季限りでバルセロナを退団するスペイン代表のアンドレス・イニエスタ。現地時間20日に行われたリーグ最終節・レアル・ソシエダ戦に勝利し、バルサでのラストマッチを白星で飾りました。試合後にはセレモニーが開催され、22年間過ごしたバルサに別れを告げました。今回は、『バルサ選手のジュニア時代 家族の愛に支えられ夢を叶えた者たち』より世界最高峰MFイニエスタの知られざるバルサ入団の秘話を紹介します。

【後編】“あのゴール”から始まったバルサの伝説。イニエスタがスペインで愛される理由

再構成●ジュニサカ編集部 著●シーケ・ロドリゲス・ガイリ 監修●浜田満 翻訳●仲野美櫻 写真●Getty Images

『バルサ選手のジュニア時代 家族の愛に支えられ夢を叶えた者たち』より転載


BARCELONA, SPAIN - MAY 20: Andres Iniesta of FC Barcelona is tossed into the air by his team mates at the end of the La Liga match between Barcelona and Real Sociedad at Camp Nou on May 20, 2018 in Barcelona, Spain.  (Photo by David Ramos/Getty Images)

幼い頃から家族と離ればなれに

 イニエスタの父、ホセ・アントニオは「父親になるのと、おじいちゃんになるのとでは、随分と違いがありますね。年齢によるところもあるのでしょうけれど」と目を細めながら話し始めた。

 そして、息子の小さい頃と現在面倒を見ている孫とを比べるように「息子が幼い頃は、どんな出来事もまるで自分のことのように一喜一憂したものですが、小さな孫と過ごす時間は実に穏やかです。年をとると思慮深くなるということなのでしょうか」と続けた。

 リラックスした表情で話す姿は確かに穏やかな“おじいちゃん”だが、ホセ・アントニオはまだ仕事を続けている。“おばあちゃん”として孫の世話役を務めているのは、むしろイニエスタの母、マリの方だ。

「できる限りのことはしてやりたいんです。あの子たちはまだ若いから、人生の先輩としてのアドバイスが必要なんです。だから私たちは、二人がうまくやっていけるように手伝っています」

 アンドレス・イニエスタの人生には、数々の素晴らしい経験というプレゼントが贈られている。最近では、愛娘の誕生が挙げられる。

「父親になるという幸せは、他の何とも比べものにならないよ」

 最近の取材でイニエスタはそう繰り返している。喜んでいるのは、イニエスタだけではない。父のホセ・アントニオも「私たちのクローンのような家族だなと感じます。いや、アンドレスは私たち家族をいっそう素晴らしいものにしてくれました。私たちから良い点を学び、さらに向上した家族を築いているといってよいでしょう」と話す。

 その言葉からは愛情というよりもホセ・アントニオとマリが、息子を尊敬していることがうかがえた。彼らは息子を何よりも大切に思っている。

「息子は、とても幼い頃にバルセロナへ旅立ちました。私たちは離ればなれに暮らすことになりました。しかし、その状況が私たちをより強い絆で結ぶことになったのです」

 イニエスタ・ルハン家は、地元フエンテアルビージャをこよなく愛している。田舎に住む、飾り気のない人たちで、気取らない素朴な性格だ。

「私たちは息子らにいつも、家族が何よりも大切だということを話してきました。両親に愛されているのを感じることが大切なのです。私たち家族はとても仲が良いのです。アンドレスたちは、私たち夫婦によく似ていますよ」

 一家は、村でとても愛されている。母方の祖父が経営していた「ルハン」という名のバール(酒場)が街の人々との交流の場となった。小さな頃から、アンドレスのことは、皆がよく知っていた。

「8歳のとき、アルバセテサッカークラブの入団テストを受けて、合格しました。私の希望は、息子がこのクラブのプロチームでプレーすることでした。それだけに留まらず、今のようにバルセロナで数々のタイトルを勝ち取ることなんて、想像もできませんでした」

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