元バルサ育成統括コーディネーターが語る指導理論。「7~8歳になるまではサッカーのトレーニングを開始するべきではない」

2018年01月29日

サッカー練習メニュー

子どもたちは何歳から”サッカーの本質”を学ぶべきなのでしょうか。例えば、幼稚園生や小学校低学年の子たちに”戦術的なトレーニング”を行っても、子どもたちが理解することは難しいです。どの年代から「サッカーの本質」を学び始める必要があるのか、どのようなトレーニングをするべきなのか。元FCバルセロナ育成統括コーディネーター、ラウレアーノ・ルイス氏の著書『世界最高のサッカー指導書 バルセロナトレーニングメソッド』から一部抜粋して紹介します。

著●ラウレアーノ・ルイス 訳●高司裕也 写真●佐藤博之、ジュニサカ編集部

『世界最高のサッカー指導書 バルセロナトレーニングメソッド』より一部転載


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10歳以降の年代から、状況が入り組んだ練習を

 いつ、何歳で、サッカーを学び始める必要があるのでしょうか? この点について誰も考慮していないことがあります。私たちは、長年の研究と調査を通して、次の結論に至りました。

1.25年前に、10~12歳の年代の子どもたちが、サッカーのトレーニングを始めた時、たくさんの批判を受けました。なぜなら、これらの年代の選手は、サッカーのトレーニングをするのに適していないと考えられていたからです。サッカーのトレーニングは神経系の発達、循環器系、心肺リズムに問題を及ぼすとも考えられていました。今日では、保護者や多くの指導者は、4歳でサッカーをプレーし始めてほしいと考えています。

2.アドルフォ・フェレイレやアルノルド・ヘセルは、幼年時代にスポーツの指導をすることは、全く意味がないと考えています。彼らは、この年代に相応しいことは、子どもたちの特徴に合った遊びをすることだと考えています。また、ジーン・ピアジェは、幼年期の間は、知能や思考の発達が、他の成長期よりも勝ると論じており、社会的要因と深く関連することを述べています。この著者の考えによれば、幼年期はコンセプトや論理的な思考を行う年代ではなく、子ども自身の自己欲求が高い年代であると論じています。

3.一方で、生物学者のニコラ・ペンデは、10歳で、筋肉系の組織は重要な発達が生じると論じています。フランチェスコ・トヌッチ教授は、同様のことが、精神構造においても起こり、知能の発達という形で起こると発表しています。

4.もう一方で、スポーツ科学の研究者たちは、トレーニングのセオリーや偉大な監督たちの経験を研究し、プレーの知識、状況認知の早さなど、サッカーの専門的な能力は、幼年期中に行う、サッカーのトレーニングを通して、習得し、発達するものと考えています。この時期に、これらの精神運動系の刺激が不足していると、将来的に補完できなくなる可能性もあると考えています。

 これらの意見はよく周知されていることですが、私の意見としては、子どもたちが7〜8歳になるまではサッカーのトレーニングを開始すべきではありません。なぜなら、この年代の子どもたちは、実質的にまだ成熟しておらず、しっかりとした判断ができるようになるまで、あと2年ほどかかる状況にいます。この年代の指導の内容としては、技術だけに特化して、戦術についてはひとまず置いておくべきです。戦術を学習すべきでないとする一番の理由は、幼年期の選手にとって、サッカーはあまりにも状況が入れ替わる複雑なスポーツだからです。

 子どもたちは、まだトレーニングを理解する能力が十分にありません。だからこそ、複雑な動作を無理に教えて、成長を強いることは、この年代の選手には適していません。戦術のトレーニングを行っても、子どもたちは、言葉が入り組んだ複雑な指導について、理解できるほど成熟していないでしょう。7〜9歳の年代では、基本的なサッカーの技術の習得に専念し、10歳以降の年代から、状況が入り組んだ、サッカーに近いトレーニングを開始するべきです。  

 この年代では、集団的プレーについての学習にも触れません。個人の技術の習得に専念することが大切です。つまり、ボールを上手にコントロールする技術、ドリブルでボールを運ぶ技術、相手を突破する技術について、指導に重点を置くことです。

 選手たちにはレガテをさせ、たくさんのミニゲームを経験させましょう。3人制のサッカーを、15m×12mの広さのピッチと2m×1.5mのゴールで行います。サッカーのフルピッチを利用できれば、ミニゲームコートを24箇所作ることができ、選手たち同士で、競い合わせることができるでしょう。

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ボールとの関わり方を学ぶ3つのトレーニング


【トレーニング1(ミニゲーム)】
目的:ドリブル、レガテ、ボールを奪うこと、守備から攻撃への切り替え
対象年齢:8~9歳

【説明】
①1つのゴールに選手AとCが準備し、反対のゴールに選手Bが準備する。
②Bはボールを持ったAと対峙するために前へと出る。
③ゴールを狙って勝負する。ゴールを一番多く取った選手が勝利。18人の選手でいくつかの予選を含むトーナメントを実施できる。15分間でプレーする。5分×3セット。

【注意点】
子どもたちは、シュートを打ちがちだが、要求することは、ボールと一緒にドリブルでゴールへ入ること。また、ボールを持って突破することはできても、ゴールを通ることができない場合がある。この場合は、得点にはならず、相手ボールから再開。


【トレーニング2(1vs1)】
目的:スローイン、コントロール、レガテ、ボールを奪うこと、賢さ、集中力
対象年齢:8~9歳

【説明】
①Aがボールを手で持ち、4m前方、中央にBが立ち、さらに4m前方にCが立ち準備をする。
②AはスローインでBの頭を越すようにCへボールを投げる。
③Cはボールをコントロールし、Bと1対1を開始する。相手を突破できたら1点。プレーはAがいる位置まで続ける。終わったらローテンションすること。時間を決め、得点を一番決めた人が勝利。

【注意点】
ファウルスロー(得点から1点減点する)。ローテーションの順番を間違えないこと(間違えたら減点)。ディフェンスの手を抜いてはならない。

図2


【トレーニング3】
目的:ドリブル、ボールを受ける動作、ボールタッチ、視野、持久力
対象年齢:10歳

【説明】
①ピッチに全員はいり、8人がボールを持つ。
②ドリブルもしくはジョギングする。 
③パス交換を行う。
④ショートパス(最初は、インサイド。次はアウトサイド)

【注意点】
歩いてプレーしてはいけない。要求している足の部位を使用させること。全ての選手とパス交換を行うこと。


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