「正直、レイソルは好きじゃなかった」。酒井宏樹はなぜJクラブへの進路を選択したのか

2018年06月26日

コラム
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「正直、レイソルは好きじゃなかった」

  それでも酒井家では末っ子を手取り足取りサポートすることはなく、なるべく自分でさせるというスタンスを取っていた。倉持代表が当時の思い出を語ってくれた。

「2002年夏の清水カップのときでした。6年生の宏樹は関東トレセンの山梨合宿が重なっていて、チームを途中で離脱しないといけなかった。本人も残念そうでした。ところが、大会終盤になってお母さんから『本人がもう1回、清水に行きたいと言っているので、最終日前日に行かせてもいいでしょうか』と電話がかかってきた。『ひとりで新幹線に乗せますから清水駅まで迎えに行ってやってください』と。『大丈夫かな……』と思っていたのですが、本人が駅に着いた頃、突然誰かわからない人の携帯から着信がありました。出てみると宏樹で『隣にいたおじさんに頼んで携帯を借りた』と言うじゃないですか。そういう度胸があるのかとびっくりしましたね」

「ウチの親は特に何にも言わなかった。物事の判断も自分に任せてくれました」と酒井本人も両親の配慮をありがたく思っている。

 この清水行きのエピソードは、自立心を促すという酒井家の教育方針を如実に示している。そのおかげで、宏樹少年は常に自分で考え、行動する力を身につけていった。

 柏レイソルから「練習に来ないか」と誘われたのは清水カップ直後の二学期。当時、レイソルジュニアユースを指導していた村井一俊監督が千葉県トレセンを見ていた関係で、彼にも声をかけたのだ。プロの登竜門に近づける好機を逃す手はないと考えた倉持代表は「ぜひ、行ってこい」と背中を押した。酒井本人は「正直、レイソルは好きじゃなかった。強すぎるから……」と尻込みしたものの、勇気を振り絞って日立台のグラウンドへ向かうことにした。

 この頃のレイソルジュニアには、全少で優勝経験のある指宿洋史(ジェフ千葉)や工藤壮人(サンフレッチェ広島)、比嘉康平、仙石廉(栃木SC)らそうそうたる面々がいた。宏樹少年も実際、レベルの高さに驚かされた。生存競争も熾烈で、ジュニアユースに上がれない子も出てくる。

「すごくうまい選手なのに『この人、落ちるんだ』って思うことが結構あって……。小学生のうちから『上がる、落ちる』を経験するのって、すごいことですよね」

 酒井は、生まれて初めてサバイバルの厳しさを知る。それでも、あえてこの競争に身を投じることを決意した。練習に参加することで、才能あふれる仲間とプレーする楽しさを強く感じるようになったからだ。

<関連リンク>
2018 FIFAワールドカップ ロシア 特設ページ
サッカーをやめようとさえ考えた。酒井宏樹の“運命を変えた”サイドバックへの転向

<プロフィール>
酒井宏樹(さかい ひろき)

少年時代:柏マイティーFC
中学時代:柏レイソルジュニアユース
高校時代:柏レイソルユース

1990年4月12日、千葉県生まれ。DF。中学生になった2003年に柏レイソルジュニアユースに入団。その後、ユースを経て、高校3年生時には2種登録。2009年からトップチームへ昇格した。スピードを活かしたダイナミックなオーバーラップから、鋭いクロスを上げて、チームの得点機をつくりだす。2011年シーズンには右サイドバックとして先発出場を続けて、柏レイソルのJ1初優勝の快挙に貢献。Jリーグベストイレブン、Jリーグベストヤングプ レーヤー賞を受賞した。2014年ブラジルワールドカップ最終予選にも出場した。2012年夏にはハノーバー96へ移籍。現在はフランスのマルセイユでプレーする。


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