脳に悪影響? 利き手矯正の弊害

2018年11月24日

コラム

利き手矯正は身体発達に悪影響がある!?

 利き手の矯正に関しては、「幼児期に変更することで脳機能のパターンが変わるので無理のない利き手の矯正は可能」という報告もあります(Lenneberg,1969)。

 しかし、無理に利き手を矯正したことによる、 成長過程の身体発達におけるデメリットが大きいという報告も多くあります。利き手の矯正は吃音(きつおん)の原因になるという研究結果をはじめ、読書能力や視覚認知能力への悪影響も指摘されています。

 利き手矯正が手指運動の巧みさにどのような影響を与えるかを研究したフーサインは、被験者を右利き群・左利き群・両利き(右利きに矯正された)群の3つのグループに分け、タッピング実験を行いました(Hoosain,1990)。

 大学生を対象に第2指のタッピングを20秒間、利き手と非利き手を5回ずつ行った結果、右利き群の平均は右手132回、左手117回となり右手優位、左利き群は右手115回、左手130回となり左手優位になりました。これに対し、両利き群は右手118回、左手117回で左右差が見られませんでした。右利き・左利き両群では利き手での成績の方が優れていましたが、両利き群の成績は左右差が見られないだけでなく、右利き・左利き両群の非利き手での成績程度だったということがわかります。

 この結果は、利き手の矯正によって左右ともに十分に発達できなかったことを示唆しています。この結果に対して、フーサインは、次のように指摘しています。

「仮に左利きのままでいたのなら、はるかに優れた機能・能力を持てたかもしれない。矯正によってそれを十分に発達させることができなかったのだとしたら、利き手を矯正された子は、矯正によって脳機能の住み分けがはっきりしなくなったため、ある行動を起こす際に認知過程で混乱が起き、右利きの子よりもいろいろな場面でややワンクッションおいた行動になりがちになるのではないかとも推測できる」

 左利きの矯正の身体発達への影響についても研究が進められています。今回、①左利きを矯正しなかった者3名、②矯正経験(両利き)者2名(書字のみ右、書字と箸の持ち手のみ右)、③矯正経験者2名(すべて右)の計7名の被験者による結果をもとに検討してみると、全矯正経験者4名のうち3名は、 「とっさに右と左がわからなくなり混乱する」と報告しており、このような報告は左利きを矯正しなかった者3名には見られませんでした。

 中部大学心理学科の松井孝雄教授は2001年に、「左右の混乱は、空間認知能力や言語理解能力だけの問題ではなく、脳のいろいろな機能が複雑に絡み、左右の区別と別のシンボリックな表現(言葉)とをマッチさせることができないため混乱が起きるのではないか」と予想しています。

 今回、報告のあった矯正経験者の左右の混乱も、脳機能を十分に発達させられなかったことが原因で起きている可能性もあるでしょう。今後、さらに検討されてゆくべき研究課題であると考えられます。

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