ケガをしにくい“体の使い方”とは? 体重移動ではなく「重心移動」

2018年12月03日

コラム

ROSTOV-ON-DON, RUSSIA - JULY 02:  Yuya Osako of Japan is challenged by Vincent Kompany of Belgium during the 2018 FIFA World Cup Russia Round of 16 match between Belgium and Japan at Rostov Arena on July 2, 2018 in Rostov-on-Don, Russia.  (Photo by Robert Cianflone - FIFA/FIFA via Getty Images)
【理想の“体の使い方をしている選手に松井氏は日本代表の大迫勇也選手をあげた】

手本となる選手は「大迫勇也」

 動き出しを補足したい。肩甲骨を引き上げる→背中や腰の筋肉によって骨盤が引き上がる→足が上がる→そのまま前に足が出る。足が自然に前に出るのは関節が前に曲がるからだ。右足、左足と交互に繰り返しを速くすればその回転力はどんどん上がっていく。足を動かすのではない。上半身(背中)を先に動かし、後からついてくる下半身を続けて動かすイメージだ。

 また、走る時によく「手を速く大きく振れ」という言葉を耳にする。多くの指導者は「手を大きく振ると足が上がるから」という。間違いではないが、手を大きく前に振っても足は上がらない。手を大きく引いたら足が上がるのだ。

「動き出した体をどんどん加速させるには、上半身と下半身の体の回転力を上げることが重要です。そこでポイントになるのが腕を引くことです。腕を引けば連動して肩甲骨が引き上がり骨盤が前に傾きます。引けばその反動で腕は前にも振れますから引くことを意識した方が体の動きとしては理に適っています。だから、私は速く走らせる時には『腕を引く、引く』という声をかけています。少し掘り下げると、筋肉には屈筋と伸筋があります。曲げる筋肉は疲れやすいから伸ばす筋肉を使った方がラクで動きやすいんです。それに伸筋を使った方が当たりに強くなります。

 例えば、一度グーを強く握って誰かとぶつかり合うのと、パーと手を開いて誰かにぶつかり合うのを比べてみて下さい。パーをした状態では自然に背中が伸びて伸筋をメインに体を使うから竹のようにしなやかな状態になるんです。でも、グーをすると自然に背中が丸まり屈筋をメインに体を使うから体が一つの塊のような状態になり、強い当たりに適応できなんです。まさに筋トレはこの状態を作っている。筋肉を鍛えて固めたら自分よりも大きな相手にぶつかられたら負けてしまうに決まっています。

 でも柔構造の建物のようにどの方向からの力にも耐えられたらぶつかり合いに負けることはありません。その象徴が大迫勇也選手です。彼は伸筋をメインに使っています。伸筋を使うことは必然的に背中を意識するから、私が考える体の使い方にマッチしています。背中は姿勢にも肩甲骨にも、骨盤を引き上げることにも腕を引くことにもかかわっています」
 
 前回(「足の負担を少なくする動き方」ってどんな動き方? 体全体を使った動き方を学ぶ)の講習会で「背中から腰の周辺をほぐす」エクササイズ(4ページ目)を習った。松井氏曰く「あれはほぐす意味もありますが、伸筋を意識させる意味もあります」。体の使い方は上半身とか下半身とか足とか腕とかいうのではなく、体の作りと動きの連動性を知らなければある一部分にだけ負担がかかるような結果になってしまう。

「私の考えでは技術とフィジカルはセットです。技術とは、頭の中で考えた筋繊維の活動を繰り返し行うこと。そこにはフィジカルが複雑に絡み合っています。だから、私はサッカーに通じる体の使い方という観点でそれぞれをわけて考えていません。選手たちのパフォーマンスという視点で見れば、自分の思い描いたプレーをそのまま体で表現できるのが子どもたちにとって理想だと思います。単純に100mの直線距離を競い合うことではありませんから」

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