“次世代選手”育成のキーワード。サッカーにおける「インテリジェンス」の意味/倉本和昌×坪井健太郎 対談①【12月特集】

2018年12月14日

コラム

KOBE, JAPAN - JULY 28:  (EDITORIAL USE ONLY) Andres Iniesta of Vissel Kobe and Hajime Hosogai of Kashiwa Reysol compete for the ball during the J.League J1 match between Vissel Kobe and Kashiwa Reysol at Noevir Stadium Kobe on July 28, 2018 in Kobe, Hyogo, Japan.  (Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images)

イニエスタが見せる相手の意思さえもコントロールするプレー

――確かに、イニエスタは相手の意思もコントロールしている感じがします。

倉本「相手の選手を見ながら『この立ち位置で、今この瞬間動いたらどうする?』をボールの状況に合わせてやっているからすごい! それが11人シンクロしていたのが一番良かった時代のバルサだったりします。『この人に入って来てほしいから、先に自分がアクションを起こしていて相手を引っ張って行ったり』とか。すごく細かいところですが、その瞬間にチームにとっていい状況が作られているわけです。そして『その時に選択肢がいっぱいあるけど、どうするの?』と味方同士でそういう状況をずっと作り続けています。だから、指導者を含めて、日本の人たちは見ているところがちょっと違うんじゃないかと思います」

――お二人の話を聞いて思うのは、「自分の意思だけでプレーをする」頭を働かせたかどうかが日本のいいプレー基準になっているように思います。でも、スペインをはじめとする世界のトップレベルは、他人の影響を受けた上で、自分がどう成功に持っていくのか。そこが日本のインテリジェンスに抜けているところなのかな、と。

坪井「そもそもサッカーというスポーツに対する概念がヨーロッパと日本では違う気がします。スペインをはじめとしたヨーロッパのサッカーは、チームスポーツという解釈。『相手がいて、ボールが一個あって、決められたピッチがあって、その中で自分がどうプレーするのか』がサッカーというスポーツなんです。たぶん日本の中だと、見方が逆に向かっている気がします。

 自分がいて、徐々に周りの要素を巻き込んでいきます。

『まずチームがあって、個人を巻き込んでやるスポーツだ』という概念を、日本の指導者たちが押さえていないのかなと感じます。スペインではそれが当たり前なので、親との会話もチーム的な方向に向かいます。『チームがこうしたい中で、自分のパフォーマンスはどうだった?』と。もしそれが押さえられているのであれば、ジュニア年代であろうと、監督の話も『チームがこういうふうにプレーをしたいから、その中で君の仕事はこれとこれとこれだよ』というふうに流れていくと思うんです。

 一例ですが、日本とスペインの選手たちで少し違いがあります。それは監督が来る前にやっている遊びです。それを比較すると、現象が異なります。日本の子たちはでは対面パスや対面キックが多いのに対し、スペインの子たちはパス回しをやります。ここも一つサッカーの解釈の違いが出ている一面だなと感じています」

――全国大会レベルのチームを取材すると気づくのですが、レベルの高いチームだとパス回しをすることが多い傾向にあります。その一方で、地域の町クラブをのぞくと対面パスとか対面キックとかをしていることが多いように思います。

倉本「日本人の方が空気を読めるんだから、チームプレーはうまいはずなんです。だから、サッカーの解釈に問題があるんです。技術がしっかりしないと次に進めないことを、一人ひとりが指導者に刷り込まれています。

 日本はサッカーを家だと捉えていて、土台がしっかりしないと立たないと思っているんです。でも、彫刻に例えると掘っていけばいいわけです。漢字の書き取りが全部できないと、長文読解に進んではいけませんと言われているようなものです。でも、どっちも必要ですから。『技術がちゃんとしないと、この子が次のステージに行った時に困る』と言ってばかりいて、技術ばかりをやっていて、でも本当は戦術の部分で困っています。

 リフティングは上手い、ボール扱いは上手い、でもキックは下手。サッカーって最後にボールが足から離れてプレーが終わりますよね? その最後のプレーがいつも良くないんです。試合もそこを見なくて途中のドリブルには「おお」というけど、最後のラストパス、最後のシュートの部分はほとんど反応しないんです。だから、『いい選手っぽく見えるけど』で終わってしまうんです」

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