成長期におとずれる「クラムジー」に対して保護者と指導者は何をすべきか?

2019年02月07日

コラム

p032_成長曲線

クラムジーが起きやすい子どもの特徴

 上の図は、強いクラムジーの現象が見られたジュニアの、実際の成長の記録です。個人が特定できないように、似た現象のジュニアを複数ミックスさせています。

 横線が時系列、縦線は身長なのですが、ひとりの選手が他の選手と比べて、ある時期から急激に身長が伸びているのがわかります。

 実はこうした子どもは比較的クラムジーの現象が重く、その期間も1年〜1年半と長めになる傾向があります。そして他にも、「同じ身長の選手と比べて、手足が長い選手」や、特に女子の場合は「体脂肪率が少なく比較的細身な選手」も、クラムジーが強く出る傾向にあります。

 余談になりますが、クラムジーの現象はアジアより欧米の選手の方が強く出ると意見する方もいます。欧米の方が急激に背が伸びる、あるいは手足の長い細身長身タイプの子どもが多いので、何かしらの関係があるのかもしれません。

 一方で、「急激に伸びるのではなく、常に一定して身長が伸び続けているタイプ」「体脂肪が多く、ふくよかな選手」「ずっと小柄な選手」は比較的クラムジーが軽く、期間も半年〜1年くらいのケースが多いと感じています。それらの中にはクラムジーの現象が全くない選手も見られます。

 これは個人的な見解になりますが、身長や体重といった「ハードウェア」の変化が急激なほど、その体と、運動する際の脳のイメージとの乖離が生まれ、クラムジーの症状が出やすくなるのではないか、と考えています。
 
 特に手足が長く体脂肪が少ない「細身長身」のジュニア、または成長期で急激に身長が伸びたジュニアは、操作する手足の重さが全く違うものになり ます。その変化に、脳がついていけていないという考え方です。
 
 具体的な対策・予防をお話したいところですが、その前に、クラムジーの現象が起きたとき、ジュニアたちの脳にどのような変化が生じるのかを知っておく必要があります。
 
 子どもがクラムジーの現象に悩まされたとき、はじめはその事態を自覚できないものです。
 
 しかし、だんだんと「何か動きが重たいな……」という違和感を覚え、徐々に確信に変わります。そしてこのとき、選手の脳や神経細胞は、体が以前と違うものだと自覚し、なんとかこの誤差を修正しようとします。
 
 これは無意識的なものですが、以前の体の使い方を思い出すために、これまで行ってきたたくさんの運動経験の感覚をヒントにするといわれています。
 
 例を挙げましょう。仮に、クラムジーの現象により、足が遅くなった選手がいるとします。すると、これまで自分が無意識にやってきた、走る動作に近い運動の感覚を思い出し、それをヒントに動きを試すのです。例えば、

・自転車……足の回転を早くする感覚
・雑巾掛け……足首で地面を蹴る感覚

などを思い出して、動きを取り戻そうとするのです。
 
 反対にいうと、こうした対応はその選手が過去に雑巾掛けや自転車など、走る動作に近い動きを過去に体験し、誤差を修正するに足る要素を持っているからこそできることでもあります。前置きが長くなりましたが、クラムジー対策の一つ目として重要なのは、今述べた無意識下の誤差調整機能が働くよう、成長期がくるまでに、様々な運動の体験をしておくということになります。
 
 少し話は逸れてしまいますが、サッカーに限らず多くのジュニアスポーツでは、低年齢から一つの競技を専門的に取り組む傾向にあります。
 
 それぞれのスポーツの背景(レベルの高いカテゴリーで活躍するためには低年齢で好成績を残し、選抜されないといけないシステムなど)もあり仕方ない部分もありますが、専門的で決められた動きしか経験してこなかった子どもは、こうしたクラムジーの現象に襲われたときの対応に苦しみ、不調が長期にわたってしまう可能性があるとも言えます。

カテゴリ別新着記事

お知らせ

ga


school_01 都道府県別サッカースクール一覧
体験入学でスクールを選ぼう!

おすすめ記事

取材備忘録

Twitter Facebook

チームリンク