優れた“判断力”を持つ選手を育てるには、まず環境を整えよ。「このピッチ、このサイズのボール、このルールを与え、その中でプレーをしましょう」【8月特集】
2018年08月23日
育成/環境今月は「少人数制」をテーマに特集を組んでいる。昨日掲載したフウガドールすみだ・須賀雄大強化本部長兼監督インタビュー(「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは)では、「フットサルを本気でプレーするメリット」を中心に紹介した。全5回でお届けする須賀氏へのインタビューの2回目である今回は、子どもたちのプレーの引き出しを増やし、そしてどの状況でどのプレーを選択するのかを判断するための頭脳を養う方法を考える。
文●木之下潤 写真●佐藤博之、ジュニサカ編集部
フウガドールすみだ・須賀雄大強化本部長兼監督
サッカーは技術という力技で乗り切ることが多過ぎる
――これまではフットサルからの学びの話でしたが、逆にサッカーの試合を行った時に学んだことはありますか?
須賀氏「ジュニアチームの金川武司監督は元々フウガドールすみだの選手でした。彼は国士舘高校のサッカー部のキャプテンを務めていたバリバリのサッカー選手でもありました。だから、フットサルとサッカーの両方を知っています。金川との話の中で最初に挙がったのは、オン・ザ・ボール(以下、オン)のトラップの質でした。フットサルでは何となく止められていたものが、サッカーだと止められなくなってしまう。とにかく、『浮き球のトラップの質を一つ高めなければならないね』と。フットサルとは違った観点で技術を向上しなければならないというマインドが高くなりました。
あとは、ルーズボールの競り合いになった時のハードワークです。体をぶつけて競り合う中でボールを扱うことは、フットサルではなかなか出くわさない経験です。ボールが腰より高く浮くことが意図してやっている以外はほとんどないので、その部分は学ぶことが多いです。
ただし誤解を恐れずに言うと、その部分はどういうフットボールをするかという戦い方によるとも感じるんです。ロングボールを蹴り合うようなサッカーをするのが日本のフットボールだというのなら、私はそれでもいいと思います。でも、ロシア・ワールドカップのような戦いが日本の目指すサッカーだとすれば、もしくはベルギーのようなサッカーを目指すのだとすれば、どうでしょうか?
なぜ日本がそういうサッカーを志向し表現しているのか。そこから、子どもたちが今何をやるべきなのかと考えるべきなのかなと思います。ジュニア年代からそういうマインドで正しい技術と正しい認知と決断を繰り返すことが目指すべき道につながっているのかな、と。だから、個人的にはボールがルーズになっていく状況を作っていく段階はジュニアではまだ早いのかなと感じています。
先日見に行った試合もグラウンドが砂利に近い状態だったので、また芝生だったら違ったのかなというところはあります。どうしてもグラウンドの種類によってはボールがポンポンと跳ねるから蹴って走ってというサッカーが続きます。そうすると、いくらフットサルの選手たちでも『あっちの方が効果的だ』と思えばロングボールで裏を狙います。そこで彼らに『落ち着いてつなげ』というのも違いますし、それが子どもたちの見つけた解決手段ならそれでいい。
でも、その解決策を見せたタイミングが早かったなと思っています。フットサルだとロングボールで裏だけを狙い続ける解決策は意味をなさないし、意図してシュートチャンスを作るためにチームとしてプレーするので、そのあたりはすごく難しいバランスだと実感しています」
※写真はイメージです。選手及びチームは記事の内容と関係ありません。
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