【第38回全日本少年サッカー大会】決勝大会 ジュニサカ取材日記③「悲運を乗り越えて創部4ヶ月で全国出場、沖縄の新星エスペランサ」

2014年08月05日

大会情報

悲運を乗り越えて創部4ヶ月で全国出場、沖縄の新星エスペランサ

(文・写真●平野貴也)

 大会は第3日を迎え、午前中で1次ラウンドが終了しました。各チーム、勝敗によって悲喜こもごもですが、選手たちは大会の雰囲気に慣れてたくましさを発揮し始めています。1次ラウンドでの敗退が決まり、ドリームリーグに回るチームも少しずつ手ごたえを得ているようです。その一つが、初出場のエスペランサFC(沖縄県)です。

 1次ラウンドは2連敗でのスタートとなり、早々に2次ラウンド進出の可能性はなくなりました。しかも、第2戦では強豪のレジスタFC(埼玉県)に0-12というショッキングな大敗を喫しました。しかし、第3戦ではふじがけSC山形(山形県)に0-1から逆転。4-1で嬉しい初勝利を飾りました。

 石井祐司監督は「レジスタ戦は少なからずショックでした。子どもたちも眠れないくらい悔しいのではないかと思ったのですが、沖縄県民特有の気質と言うか、宿舎に帰ったら楽しそうにお菓子を買いに行っているような状況で、全然落ち込んでいませんでしたね」と選手の立ち直りの早さに拍子抜けしたそうですが、第3戦の結果を見ると気持ちの切り替えが奏功したようです。

 実は、エスペランサは創設わずか4ヶ月という出来たてのチームです。J3に所属するFC琉球のジュニアチームが3月に練習場を移転したのがきっかけで、新練習場に通えなくなった子たちのために作られました。

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「原口元気選手(ヘルタ・ベルリン)のように気持ちが強く、ドリブルのキレがある選手になりたい」と話す友寄慈安君は、鋭いシュートを連発してハットトリック。逆転勝利に貢献しました。友寄君は「新しい練習場は通えないわけではないけど、練習が始まる時間には全然間に合わない。(元々の仲間と違うチームになって)ちょっと悲しかったけど、仕方がないのでこのチームで続けることにした。去年はFC琉球でこの大会に出場したけど、練習試合以外では1点も決められずに悔しかった。今日は良いパスをもらえたので、決められて良かった」と自身の活躍と新チームでの勝利を喜んでいました。

「レジスタの選手はドリブルがうまくてシュートの決定力もあった。大量得点をされたのは初めてでした」と全国大会のレベルに刺激を受けていた主将の兼島幸大君は、右コーナーキックが後方にそれたところをオーバーヘッド気味に背面シュートで合わせてゴール。中盤で攻守に活躍を見せました。

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 チームができたばかりで、現状では5年生が1人、1年生が1人と下級生が少なく、石井監督は「よほど下級生が入って来ない限り、6年生が卒業してしまったらチームを続けることはないと思う」と話しますが、主将の兼島君は続けてほしいと言います。彗星のごとく現れた新チームの未来が気になるところです。エスペランサは、同日の午後から始まるドリームリーグに回ります。全国優勝の可能性は消えてしまいましたが、ドリームリーグを最後まで勝ち上がれば、決勝戦と同じ会場の愛鷹広域公園多目的競技場でプレーすることができます。この後もきっと困難にめげずに戦い続けてくれることでしょう。

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