サッカー選手に必要な能力「巧緻性」を磨こう【前編】

2013年12月26日

コラム

みなさんは「巧緻性」という言葉をご存じでしょうか。サッカーでいえば、跳ねたボールをうまくミ―トしてシュートを打つ。ボールを奪いにきた相手の股の間にボールを通してかわす。その場面場面に応じて瞬時にプレーを変えていく、そういった「巧みさ」のことを指します。またシュートの決定力、ドリブルやパスの精度、判断スピードなど、多くのテクニックがこの巧緻性によって支えられています。
このような巧みさは、どうすれば身につくのでしょうか。順天堂大学サッカー部監督でもある吉村雅文先生が、巧緻性をアップさせる方法を伝授します。

構成・文●島沢優子 写真●編集部

※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.24春号』P128-131より転載


巧みさを磨くチャンスは小学生年代まで

【その1】
 例えば、鬼ごっこをしながら、ドリブルをして目的地までいく。
 そのような「○○をしながら、△△をする」といったふたつ以上の複数のことを同時進行させるような、遊びの要素がある練習をしましょう。

 巧緻性に関連する神経系は、幼児から急速に発達し12歳くらいでピークを迎えます。身長や筋肉の発達が20歳前後まで続くのに比べて早いのが特徴です。従って、巧緻性は小学生時代に養ってほしい能力です。

 ところが、今の日本の子どもたちはこの「巧みさ」が劣っています。キックを空振りする、味方同士でよく激突する。「どうしてこんなことが起きるの?」と大人が目を丸くするような場面が見られませんか? 少々鈍いというか、言葉は悪いのですが「どんくさい」子どもが増えているように思います。同じようなことを、長く少年サッカーのコーチをされている方は実感されていることでしょう。

 その理由は、野山や空き地を多人数で自由に駆け回るような遊びをしなくなっているからだと思います。相手をだまして振り切る鬼ごっこ、鬼の動きを察知して瞬時に隠れるかくれんぼ。高いところを綱渡りのように歩いてみたり、跳び下りてみたり。はたまた小川の岩を渡り歩く……女の子のまりつきやゴム跳びも、実は動きの巧みさを養う格好の遊びでした。

 例えば、鬼ごっこをしながらジャングルジムを上ったり、ブランコへ乗り移ったりする遊びは、「何かをしながら、何かをする」という同時進行の動き。アジリティー(敏捷性)とは異なる能力で、サッカーやバスケットボール、ラグビーといったコンタクト系のスポーツと非常に似ています。これらのスポーツは、スペースやよりゴールにつながる味方を探しながら、ドリブルやボールキープをしますね。神経系という側面からみると、似通った運動形態といえます。

 そのような遊びをしなくなったことに加え、サッカーの練習も巧みさを磨くメニューになっていません。ドリブルならコーンなどをまわってくるドリブルだけ、シュートだけ、対面式のパスだけ。これでは、今の日本という国は、巧緻性を身に付けた選手がなかなか出現しづらい国だと言わざるを得ません。同時進行で行う遊びのメニューをもっと取り入れるべきです。

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