【第38回全日本少年サッカー大会】決勝大会 ジュニサカ取材日記⑤「ケガに泣いた友の声で生まれたゴール」

2014年08月06日

大会情報

ケガに泣いた友の声で生まれたゴール

(文・写真●平野貴也 写真●佐藤博之)

「第38回全日本少年サッカー大会」は第4日を迎え、2次ラウンドとドリームリーグが行われています。ドリームリーグは、1次ラウンドで3位・4位となったチームの戦いですが、全国レベルの試合には違いありません。FCアミーゴ(鳥取県)は、前日の1次ラウンドで横河武蔵野FC(東京都)を大いに苦しめました。横河武蔵野は、3月に行われたダノンネーションズカップで全国優勝を果たしている強豪です。しかし、FCアミーゴは試合終了の直前までリードするという粘りを見せて健闘しました。残念ながら最後は同点弾を決められて金星は逃しましたが、会場を大いに沸かせました。

 彼らはドリームリーグに進み、第1戦は丸亀FC(香川県)に1-2で敗れました。しかし、前半12分に織田陽仁君が決めたFKは鮮やかなものでした。左サイドのあまり角度のない位置から、右足で鮮やかにカーブを描いて吸い込まれるようなゴールを決めました。織田君はFKのスペシャリスト。得点の場面以外にもドロップシュートでワンバウンドをさせて相手GKを困らせたり、インサイドで押し出すようにして当てる無回転シュートも繰り出したりしていました。

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 前日には、1次ラウンドの最終戦で横河武蔵野FC(東京都)を相手に無回転FKを放ち、こぼれ球が得点につながるシーンもありました。いろいろな種類のキックを持っている織田君ですが、得点の場面では仲間の声を信じました。実は、FKの軌道を指示したのは、ベンチにいた主将の金坂捺君でした。ゴールを決めた織田君は「巻いて蹴った方がいいよというキャプテンの声が聞こえたので、そういうふうに狙った。ケガで出られないキャプテンの分まで頑張りたいと思っている」と話してくれました。

 主将の金坂君は大会直前に骨折をしてしまい、この大会ではプレーしていません。横河武蔵野FC戦は、記念として先発出場。キックオフボールを蹴った後、すぐに交代しました。「昨日、スタメンで出られたのは嬉しかったけど、今大会はプレーできないので、ほかの仲間に頑張ってほしい。みんながガッツを出して頑張ってくれている。キャプテンなので、ベンチから声を出していきたい」と金坂君。本来は主力選手で、出場できない悔しさを抱いていますが、それでも仲間とともに戦っています。

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(右から4人目が金坂君)

 今大会は、ドリームリーグでの戦いとなりましたが、2人はともにピッチに並び立ってもう一度戦いたいという気持ちを持っています。織田君は「この大会が終わったら、フットサルのバーモントカップの県大会がある。今度は(出場できる状態の)キャプテンを全国大会に連れていきたい」と語ってくれました。しかし、チーム内では大会毎にキャプテンを代えているようで、バーモントカップは織田君がキャプテンになりそうだといいます。織田君のコメントを聞いた金坂君は「いや、オレが(活躍して)キャプテンを連れて行ってやるわ」と早期の復帰に強い意欲を示しました。

 プレーができなくても声を出して戦い、その声とともに戦う仲間がいる。チームとしては本領発揮ができずに残念な部分はあるでしょうが、彼らはその中で貴重な経験を積んでいるようです。

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