世界一子どもが幸せな国・オランダに学ぶ“個性”の伸ばし方。子どもの知性を表す「8つのスマート」とは?

2016年04月22日

コラム

2013年に発表されたユニセフによる子どもの幸福度調査で世界第1位を獲得し、その独自の教育法に世界から注目を集めるオランダ。サッカー強豪国としても知られるオランダで行われている教育法とは? オランダの教育・社会事情を研究するリヒテルズ直子氏の著書『世界一子どもが幸せな国に学ぶ愛をもって見守る子育て』から一部抜粋して紹介します。

(著●リヒテルズ直子(教育研究家)写真●Getty Images)

『世界一子どもが幸せな国に学ぶ愛をもって見守る子育て』より一部転載


RIO DE JANEIRO, BRAZIL - JUNE 14:  Robin van Persie with his daughter, Dina Layla and son Shaqueel give football instructions to children from other players including Dirk Kuyt during the Netherlands training session at the 2014 FIFA World Cup Brazil held at the Estadio Jose Bastos Padilha Gavea on June 14, 2014 in Rio de Janeiro, Brazil.  (Photo by Dean Mouhtaropoulos/Getty Images)

子どもの豊かな個性の表れ人間の知性と8つのスマート

 オランダでは、もう20年あまりもよく使われているものに「マルチプルインテリジェンス」という考え方があります。

 これは、米国ハーバード大学の教育学者ハワード・ガードナーという教授が生み出した理論で、簡単に言えば、人間の知性には8つの種類があり、一人ひとりの人間は、そのうちいくつかの組み合わせを個性として持っている、というものです。

 子どもには、言葉で表現したり本を読むことが好きな子(言語スマート)、数字や論理性に関心の高い子(数理スマート)、物事を立体的にとらえ地図などを書くのが好きな子(空間スマート)、運動能力が高く身体を動かしているのが好きな子(運動スマート)、物事をじっと深く掘り下げて考えるのが好きな子(思考スマート)、その子がやって来るとその場の雰囲気がよくなり、ケンカの仲裁などができる子(社会スマート)、動植物に関心が強く、小動物や植物を観察したり育てるのが好きな子(自然スマート)、音楽が好きでリズム感覚に長けている子(音楽スマート)などがいますね。もちろん、この中の2つも3つものスマートを同時に持っている子もいます。

 これまでの学校や幼稚園は、子どもが持つこういういろいろなスマートのうち、言語スマートと数理スマートだけを特別扱いして、そのほかの能力の発達をあまり顧みてこなかったようです。言い換えれば、読んだり書いたり計算したりするのがうまい子は学校で「できる子」になるけれど、そうでない子は、ほかのいろいろな力があるのに、顧みられることがなく、ひどい場合には、落ち着きのない子、できない子として軽視されてきました。

■マルチプルインテリジェンス~8つのスマート~
言語スマート:言葉で表現したり本を読むことが好きな子
数理スマート:数字や論理性に関心の高い子
空間スマート:物事を立体的にとらえ地図などを書くのが好きな子
運動スマート:運動能力が高く身体を動かしているのが好きな子
思考スマート:物事をじっと深く掘り下げて考えるのが好きな子
社会スマート:その子がやって来るとその場の雰囲気がよくなり、ケンカの仲裁などができる子
自然スマート:動植物に関心が強く、小動物や植物を観察したり育てるのが好きな子
音楽スマート:音楽が好きでリズム感覚に長けている子

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