「夏の過ごし方次第でサッカーが変わる」。生活・食事・練習の3つの観点からジュニアサッカー選手の夏休みのポイントを紹介!
2017年07月10日
コラムのどが渇いてから水を飲んでも遅い
練習時間を決める前に、考えてほしいことがあります。それは子どもが自分から進んで練習をすること。指導者の管理のもとで”やらされる”練習をしていても上達は見込めません。集中力を欠き、疲労がたまるばかりで、故障につながることもあります。
子どもが自らの意思で楽しみながらサッカーをしているのであれば、一日中であろうと短時間であろうと効果は絶大です。いつもは週に2日しか練習できないチームでも、3日、4日と定期的に練習量が増えればその分だけ必ずプラスになる。サッカーと向き合う子どもの意思が”能動的”か”受動的”か。実はこれが大きな違いなのです。
中学校の部活動では、指導者がその場を外し、子どもたちだけで練習しているチームも少なくありません。そうした中学生に限って言えば、自主的に考えることが大切です。特に夏場は、普段よりも疲れやすいし、疲労も回復しにくい。エネルギーはたくさん必要なのに、夏バテで食事が取れませんから、どんどん悪循環に陥るのです。
なので、疲れたときは自らの意思でしっかりと休憩を取る。食事や水分補給にも気を配って、自分の体調を良好な状態に保ってください。
疲労を軽減させるために、水を飲むタイミングも知っておいた方がいいでしょう。今では「練習中に水を飲むな」というチームはないと思いますが、しかし、のどが渇いてから水を飲んでも遅すぎます。のどが渇いたと感じたときは、すでに脱水状態。適切に水分補給ができないと、パフォーマンスの低下や熱中症の原因になるので注意してください。
水分不足が引き起こすアクシデントを予防するために、練習前は必ず水を飲んでおきましょう。2時間の練習で体重の約1パーセントの水分が失われると言われていますから、体重が50キロだとして500グラム。水にすると500ミリリットル、つまり、ペットボトル1本分に相当します。
ですから、練習の前には少なくともそれくらいの水を飲んでおくこと。さらに練習の合間には、15分から20分を一つの区切りにして休憩を取り、そこでもコップ一杯くらいの水を飲む。これは、先ほども触れた大人がグラウンドにいないチームの子ども、特に中学生に知ってほしいことです。
子どもは夏で大きく変わります。それは必ずしも練習だけが要因ではなく、息抜きをする時間もあるからです。家族と一緒に過ごしてもいいし、友だちとプールに行ってもいい。みんなで野球や釣りを楽しむのも一つです。「体を育てる時間」とも言われますが、塾感覚でサッカーの 練習をしても、決してプラスにはならないのです。
サッカーから少し距離を置いて、もう一度、自分とサッカーの関係を見つめ直す。季節変動によって夏場に身長が伸びる子も多いですが、精神的な変化が伴えば、秋になってぐっとパフォーマンスも上がると思います。
親子でひと工夫、飲料水について考える
熱中症の対策として電解質が含まれているスポーツドリンクを飲む人がいます。スポーツをしたときに飲むのであれば問題ありませんが、ふだんの生活で水のように飲むのはあまりおすすめできません。
ほとんどのスポーツドリンクには50グラム程度の糖質が含まれています。糖質50グラムというと小学生なら1日に必要とされる所要量のすべてを満たすことになるので、それだけでおなかがいっぱいになります。
昼食時は、スポーツドリンクや炭酸飲料ではなく、やはりお茶にしておいた方がいいでしょう。前の夜に作っておいたお茶をペットボトルの空き容器に入れて冷やしておくなど、親子で一緒に工夫しながら取り組んでください。
<プロフィール>
広瀬統一
1974年生まれ、早稲田大学卒、東京大学大学院博士課程終了。ヴェルディ川崎(当時)ユースチームアシスタントトレーナー、同育成チームフィジカルコーチを経て、06年より早稲田大学スポーツ科学学術院へ。現在は教授。
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